有病率
患者さんの数は、人口10万人あたり、だいたい2人くらいと言われています。
原因
脊髄空洞症は、何も原因なく発症することがほとんどです。
中には、脊髄に腫瘍があって、それが原因となって脊髄空洞症となることもあります。
- 脊髄腫瘍
- 癒着性くも膜炎
- 視神経脊髄炎(ししんけい・せきずいえん)
- 脊髄動静脈ろう
症状
自律神経失調症と間違えられやすい
脊髄空洞症は、症状がわかりにくく、自律神経失調症と間違えられやすいです。
体が硬くなったり、手足に力が入らなくなったり、感覚がおかしくなったりします。
また、汗がたくさん出たりして、MRIの撮影の前には、いったん『自律神経失調症(じりつしんけい・しっちょうしょう)』の診断がついたりします。
その場合に、脊髄MRIの検査をすると、この脊髄空洞症(せきずい・くうどうしょう)が見つかったりします。
脊髄空洞症の症状
- 痙縮などの錐体路障害による運動障害(59.4%)
- ジャケット型の解離性感覚障害や痛みなどの感覚障害(78.0%)
- 発汗過多,ホルネル徴候,肢肥大などの自律神経障害(23.6%)
- 側弯症などの骨格系症候(30.1%)
- 延髄に空洞が進展していることに起因する脳神経障害(10.3%)
Sudo: Lancet 347 : 1593–1595, 1996
検査
脳とせぼねを3回に分けてMRIを撮影して脊髄空洞症を診断する
脊髄空洞症を診断するために、MRIで、『脳』と『せぼね』を撮影します。
せぼねのMRIを撮影して、脊髄(せきずい)という神経の中に水がたまっていたら、この脊髄空洞症を疑います。
脊髄空洞症は、脳の奇形を合併しやすいため、脳のMRIも併せて撮影します。
脳とせぼねのMRIは、1回では撮影できないので、複数回(通常は3回)に分けて撮影します。
治療
痛みなどの症状がある脊髄空洞症は、まずは薬で治療しますが、全国的には、最終的に7割くらいの患者さんが手術になっています。
薬の治療は、主に、痛み止め、抗うつ薬、てんかんの薬、などが使われます。
手術は、脊髄の水たまりを抜く手術、合併する脳の奇形を治す手術、脊髄に痛みを緩和する電極を入れる手術(脊髄刺激療法)、などがあります。
- 大後頭孔開放術
- 硬膜減圧術(硬膜外層剥離・硬膜開放)
- 脊髄刺激療法