エコノミークラス症候群と肺塞栓の診断と治療│立ち上がった時に命を落とさないために

エコノミークラス症候群は、長時間座っていたときにできた足の血栓が、立ち上がった瞬間に肺の血管に飛んで詰まる病気です。

足の血栓が、肺の血管に詰まる病気

 

 

肺塞栓の診断│造影CTが必須

  1. 造影CT
  2. 血液検査(Dダイマー)

血液検査で肺塞栓があるかどうかを疑います。

肺塞栓は、造影CTで確定診断します。

Dダイマーが低い値であれば、肺塞栓であることはまずありません。

 

 

肺塞栓の原因│座りっぱなしに注意

  • 座りっぱなし
  • 寝たきり
  • 妊娠
  • ピル
  • 肥満
  • 血液がどろどろ
  • 運動不足
  • よくある病気(がん、糖尿病)
  • 特殊な病気(免疫の病気、生まれつき)
  • 精神科の薬の副作用(確率は低い)

薬の副作用で肺塞栓が起こる場合は、極めてまれで、国内でもわずかな症例報告しかありません。

肺塞栓を起こしやすい薬は、『精神科の薬』『心療内科の薬』『メンタルクリニックの薬』です。

 

肺塞栓の原因│ガイドラインより抜粋

静脈壁損傷:

  • 手術
  • 外傷
  • 糖尿病
  • 自己免疫疾患
  • 血栓性静脈炎

 

血流うっ滞:

  • 長期臥床
  • 肥満
  • 静脈瘤
  • 妊娠

 

血液凝固機能亢進:

  • 悪性腫瘍
  • 妊娠
  • 脱水
  • 女性ホルモン薬
  • 高脂血症
  • 糖尿病
  • 多血症
  • 先天性プロテインC・プロテインS欠損症
  • 抗リン脂質抗体症候群

肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症 予防ガイドライン, 2004. p5-11

肺塞栓を起こしやすい薬剤リスト

肺塞栓を起こす薬剤は、主に精神科薬に多い.

  • オランザピン
  • リスペリドン
  • スルピリド(1.2%)
  • クロザピン

スルピリドおよびロラゼパムの関与が否定できなかった急性肺塞栓症の1例, 長尾, 心臓 41(8): 914-917, 2009.

精神科の薬を飲み始めて3ヶ月以内は肺塞栓に注意

薬の副作用で、肺塞栓が起こる場合は、内服開始から3ヶ月以内が多い.

薬物によるホルモンや抗リン脂質抗体への影響,さらに,薬物内服による沈静から生じる血流うっ滞の関与も示唆されている.

Zornberg GL : Antipsychotic drug use and risk of first-time idiopathic venous thromboembolism : a case-control study. Lancet. 2000 ; 356 : 1219 – 1223

 

肺塞栓の治療│血栓を溶かす薬が必要

  • 血栓溶解療法
  • ヘパリン
  • 抗血栓薬(ワーファリン・DOAC)
  • ECMO(エクモ)
  • 下大静脈フィルター

早期に診断して、血栓を溶かす薬を使用することが大切です。

治療と平行して、なぜ肺塞栓になったかの原因を見つけて、合わせて原因の治療をすることも重要なポイントです。

足の血栓ができやすい人は、血液サラサラの薬(リクシアナ)を一生飲む必要があります。

超高齢の場合は、ごく少ない量のリクシアナを飲むことで、健やかに生活できるようになります。