イソトレチノインは、重症ニキビの治療薬です。
- イソトレチノインは、重症ニキビの治療薬で、すごく効く
- 奇形が生まれやすいリスクあり
イソトレチノインは、効果的に赤いニキビを改善させますが、『赤ちゃんに奇形が生まれやすい』というリスクもあります。
ですので、トレチノイン治療を勧められた場合は、最低半年間は妊娠しないようにお伝えしています。
ニキビ治療薬『イソトレチノイン』は最低6ヶ月間の避妊が必要
イソトレチノイン内服薬は、重症ニキビの治療で使われます。
抗生剤(ミノマイシン・ビブラマイシン)を内服しても、塗り薬(エピデュオ、ベピオ)を塗っても改善しない重度のニキビは、イソトレチノインを飲むと治る可能性があります。
しかし、イソトレチノインは『催奇形性(=さい・きけいせい)』という性質があり、これは『奇形が生まれやすいこと』を意味します。
ですので、トレチノインを飲むときには、半年間避妊をすることが大切になります。
従来は女性のみの制約でしたが、最近では、男女ともに休薬の後から半年間は避妊した方が良いとされています。
妊婦のビタミンAは多くてもダメ、少なくてもダメ│動物実験にて証明済み
- 妊娠中にビタミンAが不足すると、出産仔や胎仔の眼、泌尿生殖器、心臓などに異常が誘発される
Hale: Heredity, 24, 105-106, 1933
- 妊娠動物に過剰のビタミンAを与えた場合にも、胎仔に形態の異常を誘発する
Cohlan: Science, 117, 534-536, 1953
トレチノイン製剤『アクネトレント』『ロアキュタン』『イソトロイン』
ニキビ治療のイソトレチノイン(=ビタミンA)は、先発品の『ロアキュタン(=アキュテイン)』、後発品『アクネトレント』『イソトロイン』があります。
製品名が違うだけで、どちらも中身は同じものです。
- ロアキュタン・アキュテイン
: ロシュ社(スイス) - イソトロイン(=isotroin)
: Cipla社(インド) - アクネトレント(=AKNETRENT)
: Recordati社(トルコ)
イソトレチノインの飲み方
イソトレチノインは、1日1回、決められた量を飲みます。
1日量は、10-30mgが多いです。
初めての方は、1日1回 10mg から内服します。
効果は、16週-24週(= 4 – 6 ヶ月)で感じられます。
早いと、約1ヶ月目で効果が出てきます。
ですので、飲み始めて数日で効果が出るものではありません。
イソトレチノインの副作用│血液検査が必要
- お肌の乾燥
- 口の中の乾燥
- 粘膜の乾燥
- 湿疹
- 胎児奇形(水頭症など)
- 高脂血症
- 白血球減少
長期で内服する場合は、高脂血症・白血球減少の副作用を認めることがあるため、4 – 6ヶ月ごとの血液検査が必要になります。
イソトレチノインはなぜニキビに効く?│皮脂を抑制する効果
イソトレチノインは、お肌の皮脂を抑制することで、ニキビ治療に効果を示します。
皮脂は、ニキビの原因になり、ニキビを悪化をさせる良くないものです。
その皮脂を抑える薬はありませんでしたが、イソトレチノインの登場でニキビ治療は大きく変わりました。
ただ、妊娠する場合にリスクが高い治療であるため、日本では保険適応にはなっていません。
トレチノインの歴史│1982年アメリカ
トレチノインは、1982年、アメリカで『Accutane』という製品で初めて発売されました。
その後、米国の若者の間で、ニキビ治療でトレチノインは大流行し、多くの人達が使いました。
その後、イソトレチノイン関連の胎児奇形の報告が相次ぎ、イソトレチノインの安易な使用に警鐘を鳴らしました。
イソトレチノインによる奇形の報告│昭和の時代から有名
- アメリカではイソトレチノイン(Accutane)は1982年から重症の嚢胞性座瘡(にきび)の治療に用いられている
- この薬(商品名,Accutane)の大量療法で,先天異常児が生まれた報告が2例相ついで発表され,ビタミン剤の催奇形性の問題と若年妊娠の問題にあらたな関心を集めた
木田, ビタミンA剤による新しい胎芽病, 醫學のあゆみ 133(3): 151-151, 1985