花粉症の注射(ケナコルト筋肉注射とゾレア皮下注射)を実施しています。
1回注射すると、約1ヶ月の間、花粉症の症状がやわらぎます。
飲み薬よりも断然効果がありますが、飲み薬で効かなかった方が対象になります。
ケナコルトの方が、ゾレアよりも安いです。
花粉症ケナコルト注射とは?
花粉症に対して、ケナコルトを筋肉注射する治療があります。
ケナコルトは、効果が長持ちするタイプのステロイド製剤です。
副作用は少ないですが、その中でも、生理不順が最も多いです。
生理不順は3-6週間で治まります。
また、皮膚の凹みも副作用として言われているため、腕よりもおしりに注射することが推奨されています。
皮膚の凹みを生じたとしても、6ヶ月-1年程度で元に戻ると報告されています。
ケナコルトの副作用について、『多少の皮膚の凹みが起きても気にしないです』という方も多いので、その方には腕に打つ場合もあります。
実際、それほど問題となる場合は少ないです。
花粉症ケナコルト筋肉注射│実施できない場合
下記の内容が当てはまる場合は実施できない場合があります
・ 妊娠中、妊娠予定、授乳中の方
・ 18歳未満の方
・ 緑内障
・リウマチ
・ コントロール困難な糖尿病または高血圧
・ 生ワクチンを接種直後の方
花粉症ケナコルト筋肉注射│副作用
・ 生理不順: 生理が止まってしまったり、逆に止まらなくなることがあります
・ 注射箇所の筋肉の萎縮・陥没 (おしりへの注射が推奨されています)
・ 副腎機能不全(体がだるくなることがあります)
・ 感染症
・ 胃潰瘍や十二指腸潰瘍
・ 著しい肝機能障害
・ 精神障害(うつ病)、全身倦怠感
・ 骨粗鬆症(骨密度が低下する)
・ 生殖機能障害
・ 満月様顔貌、顔面紅斑
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ケナコルトによる皮膚の凹みは一時的
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ケナコルトの皮膚の凹みは治る
皮膚,皮下組織の萎縮については一般に可逆性であると言われており,筋注後,1カ月半から3カ月頃出現し,6~7カ月で改善するとされるが,1~2年持続する例もある.
青木, 皮膚疾患-他科領域に関連した医原性皮膚障害(II), 日本医科大学医学会雑誌 2(1): 9-11, 2006
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ケナコルト40mg=プレドニゾロン250mg の強さ
- ケナコルト40mg は、リンデロン40mg・コートリル1000mg に相当します。
ケナコルトはコートリルの25倍の強さ
ステロイド力価:
- ヒドロコルチゾン(コートリル): 1
- プレドニゾロン: 4
- トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト): 25
トリアムシノロン(ケナコルト)の筋注用40mg 1管で、プレドニゾロン約250mg、デキサメタゾン(デキサート)40mg、ベタメタゾン(リンデロン)40mgに相当する.
水越, 免疫アレルギー 19(2): 16-18, 2001
ゾレア(保険診療の花粉症注射)とケナコルトの比較
- ゾレアは高い( ケナコルト数千円、ゾレア1-4万円)
- ゾレアは効くまでに1ヶ月かかる(ケナコルトは数日で効く)
- 効果の持続期間はどちらも同じ(1ヶ月間)
- ケナコルトは副作用(生理不順、皮膚の凹み)に注意
ゾレアは、1本の薬価3万円の皮下注射する薬です。3割負担で、約1万円です。
ゾレア1本では効かない場合は、2-4本(最大4本)打ちます。
ゾレアは1万円から4万円(3割負担の支払額)
ゾレア1回は1-4万円の支払額(3割負担)になります。
効果が出るまで1ヶ月かかり、効果の持続時間は1ヶ月間です。
ゾレアは3回まで打てますから、3回打つと、3 – 12万円かかります。
ゾレアは使用前にアレルギー検査が必要
ゾレアは使用前に、血液検査が必要です。
料金は、3割負担の方で、5000-6000円程度かかります。
検査結果が出るまで、5 – 7日間必要です。
- View39(花粉症を含めたアレルギー検査)
- IgE値の測定
ゾレアの副作用│アナフィラキシー0.2%
ゾレアの副作用は、アナフィラキシー(0.2%)です。
それほど多くはありません。
花粉所の舌下免疫療法│シダキュア│根本的な治療
花粉症を根本的に治療する方法として、シダキュアの舌下免疫療法があります。
スギ花粉の塊(かたまり)を、口の中に入れて舌で転がし、体をスギ花粉に少しずつ慣らしていく花粉症の根治治療です。
治療に成功すると、花粉症が治ります。
スギ花粉のオフシーズンに開始し、3 – 5年間継続する必要があります。