プラセンタに打ちすぎはありますか?│効果的な打ち方は?

プラセンタに打ちすぎは、実際にはほぼありません

プラセンタ自体が代替治療(他の治療が効かなかった時にする治療)と考えられていますので、プラセンタ治療は第一に選択される治療ではありません。

その分、医学的な情報を得にくいものにはなっています。

“プラセンタ専門医” という資格も世の中にないため、過去の医学論文にアクセスして応用する考え方となります。

白く透き通る肌を目指して

美白治療(飲み薬・サプリメント・塗り薬)   美白治療として、下記を行っています。 いずれも診察料は料金に含まれております。 ・白玉点滴 ・ビタミンC点滴 ・高濃度ビタミンC点滴 ・高濃度[…]

 

結論:プラセンタ注射に、打ちすぎはありません

  • プラセンタは毎日1本打っても安全です(プラセンタを毎日1本ずつの皮下注射を、連続28日間続けた研究あり)
  • 結果、特に良くないことは起こっていません

あくまでもアレルギーがなければ安全ということです。

プラセンタの研究は多く、2014年度だけでも16本の医学論文がありますが、いずれにおいても悪い事は言われていません。

むしろ、肌質や痛みの改善に効果的だった、傷などの治りが早くなった、という報告が近年では多いです。

プラセンタ料金

 

プラセンタの正しい使用において、目立った副作用なし

  • プラセンタに打ちすぎはありません
  • プラセンタに原則、副作用はありません

プラセンタ注射を皮下注射や筋肉注射で行う範囲内では、副作用は原則ありませんが、薬のアレルギー反応は起こる人はいます。

特にメルスモンは、アルコールが含有されているため、アルコールにアレルギーがある人は注意です。

プラセンタを1施設において5年間で30万回打って重篤な副作用はゼロであったという報告がある一方で、静脈注射を行った場合に、全国で1例だけアナフィラキシーショックが起こったと2009年に報告がありました。

プラセンタの静脈注射(点滴)は、推奨されておらず、当クリニックでも行っていません。

5年間で30万回の注射を行い重篤な副作用はゼロであった

プラセンタ療法と統合医療 2006:25, 166-170

日本胎盤臨床医学会では、プラセンタ注射製剤の静脈注射及び点滴注射については推奨しておりません

日本胎盤臨床医学会 声明 より抜粋

 

合わせて読みたい

ゼオスキン(@zoskinhealth)は、美肌を目指すための医療機関専売のスキンケア製品です。 ゼオスキンの最大の特徴は、 ビタミンAで皮膚を入れ替えつつ、ハイドロキノンによる美白治療ができる です。 これはつまり、 肌[…]

 

プラセンタは、皮下注射や筋肉注射が基本

  • プラセンタの基本は、皮下注射と筋肉注射です
  • プラセンタ点滴(静脈注射)もありますが、正規の使い方ではありません

“プラセンタ点滴”  と言って、血管の中に直接打つ方法もあります。

しかし、現在は、皮下注射と筋肉注射が推奨されています。

効果は、理論上はプラセンタ点滴(血管に直接入れる)の方が良いのですが、プラセンタの添付文書の記載や、しっかりした研究がなく、現時点では、安全面からは皮下注射の方が無難です。

論文化された研究報告があれば、当院でも採用するかもしれませんが、現時点では日本胎盤臨床医学会では、点滴注射は推奨しておらず、前述の通り、リスクもあると思われます。

 

プラセンタ注射の効果的な打ち方

  • はじめの1か月は、だいたい週1~2本くらい打ちます
  • 慣れてきたら2週間に1回2本、と言った感じです
  • だいたい1~3か月くらい打って、効果を確かめます

過去の医学論文からの打ち方を参考にしています。

実際は、患者さんの通院の都合もまちまちなので、打ち方は患者さんごとに異なっています。

 

はじめの1か月は、週2本が多い

  • 週1回通院で、1回2本うつパターン
  • 週2回通院で、1回1本うつパターン

 

1か月以降は週1回1本で維持

・そもそも1か月間 毎日連続で1本ずつ打っても打ちすぎにはなりません。

(医学論文に掲載された研究あり)

 

効果を実感できない時は1回やめる

  • プラセンタ注射をやめると違いがわかる
  • 肌ツヤ、だるさ、倦怠感、肩こり腰痛、などに注目

 

プラセンタ注射の目的

保険診療では、更年期障害、乳汁分泌不全、肝機能障害に使用されていました。

自費診療では、美容やアンチエイジング、肩こり、腰痛、腰部脊柱管狭窄症、などに注射されていることが多いです。

 

プラセンタ製剤の保険適応

  1. 更年期・乳汁分泌不全
  2. 肝障害

 

プラセンタの効果(自費診療)

下記効果に用いられています。

  • アレルギー疾患
  • 更年期障害や乳汁分泌不全などの産婦人科疾患
  • 自己免疫疾患肝炎や肝硬変などの肝臓疾患
  • うつ病、自律神経失調症、不眠症などの精神科疾患
  • 肩こり、腰痛、膝痛などの整形外科疾患
  • 癌治療中の投与によるQOLの改善
  • 疲労の回復
  • 肌荒れ、乾燥肌などの肌トラブル

Bella Pelle vol 4, No 32019-8 より抜粋

最近では、アトピー性皮膚炎、神経痛、リウマチなどにも有効と言われおり、また、女性については、閉経後の尿失禁にも効果があると報告があります。

さらに、傷の近くに皮下注射することで傷が早く治癒したという報告もあります。

最近になり、アトピー性皮膚炎、神経痛、リウマチなどの痛みの緩和など、さまざまな疾患への効果がみられ、さらに抗加齢領域でも注目されている

日本ベッグ矯正歯科学会大会 特別講演: 7-8, 2009.

腹圧性尿失禁を訴える閉経婦人8名を対象に,経ロプラセンタエキス(飲み薬)を6ヵ月間投与したところ、投与前後で尿失禁の程度が改善した

Anti-aging Science; VoL5, No2, 2013

プラセンタを創傷に直接局所注射することで、皮膚全層欠損創では創冶癒を早めることができた

日本形成外科学会総会(59): 462-462, 2016

 

プラセンタの肌への良い影響

顔にうるおいを与え、目じりのシワの幅を目立ちにくくしたという報告があります。

その他にも、アトピー性皮膚炎に対して効果を示した研究論文もあります。

プラセンタの投与は、顔の皮脂量や水分量を増加させ、目じりのしわの幅を減少させることが観察された

Anti-aging Science; VoL5, No2, 2013

  • 難治性アトピーで、ラエンネック1回4アンプル(8mL;保険適応外)週2回を2カ月間行った結果、かゆみが著明に軽減し、痒疹を含めた皮疹が軽快した
  • 難治性アトピーで、メルスモン1回4アンプル(8mL;保険適応外)週2回を2カ月間行った結果、1カ月後よりステロイドの外用を中止してもかゆみが改善できた

Anti-aging Science; VoL5, No2, 2013

 

高齢者が元気になるという報告あり

2012年韓国の研究では、65歳以上の男女の高齢者にプラセンタ注射を2か月間行ったところ、心身ともに元気になったという報告があります。

65歳以上の男女の高齢者に対し,プラセンタを8週間投与した。最初の2週間は週に4アンプル,次の2週間は2アンプル,最後の4週間は1アンプルとした。

結果は,プラセボ群に比べ,プラセンタ投与群で身体能力やうつ状態が明らかに改善した

Kong M; Evid Based Complement Alternat Med 2012:732915

 

女性ホルモンも上がる

韓国の報告では、40歳~65歳の女性にプラセンタ注射を行うと女性ホルモンの数値が上昇した、という報告があります。

40-65歳の女性に8週間プラセンタ注射を実施すると、女性ホルモン(エストラジオール E2)の上昇を認めた

Kong MH; Menopause 2008, Mar-Apr, 15 (2), 296-303

 

腰痛にもプラセンタの効能はあると言われている

腰部脊柱管狭窄症とプラセンタの相性は良い

まずは、”腰の血流の改善薬” と “ビタミン剤” が治療選択肢です。

それらが無効なら、代替治療としてのプラセンタ注射を試しても良いかもしれません。

 

プラセンタ注射・点滴の料金表

  *すべて自費診療になります ・医療脱毛 たるみレーザー ・ハイフ ・ボルニューマ シミ/くしみレーザー ・美肌レーザー(全顔美白) ・ルメッカ(全顔美肌) ・シミ取り(局所) 毛穴に[…]

 

プラセンタの種類

  • プラセンタには、注射、飲み薬(サプリ)、塗り薬、の3種類があります
  • プラセンタは注射が最も効率的です
  • プラセンタ注射は後述のように2つの種類があります

 

プラセンタ注射は2種類

プラセンタ製剤は2種類あります。いずれも国産のものです。

ラエンネックとメルスモンの比較

保険適応があるのは、主には、ラエンネックは肝臓病、メルスモンは更年期障害です。

ラエンネック メルスモン
メーカー 日本生物製剤 メルスモン製薬
薬価収載の年 1974年 1959年
保険適応(添付文書) 慢性肝疾患 更年期障害、乳汁分泌不全
中身 わずかに濃い
注射部位 筋注 皮下注
局所麻酔成分 なし あり(アルコール成分)
アルコールアレルギーの方 問題なし 打たない方がいい

 

注射時の痛みには個人差があります

痛みは、ベンジルアルコール含有の有無だけでは評価できません。

個人差が多い部分となります。

添付文書の疼痛の副作用は、ラエンネック 2.6%、メルスモン 7.1% と記載はありますが、対象がそれぞれ違うため、決して直接比較できるものではありません。

 

プラセンタの痛くない打ち方

  • できるだけゆっくり打つことです

ゆっくり打つ方が痛くないです。

メルスモンはアルコールが入っている

  • メルスモンはベンジルアルコールが少量入っています
  • メルスモンの方が、ラエンネックよりもプラセンタ濃度が少し薄いです

 

世界のプラセンタ療法

キューバなどでは、自国でプラセンタ製剤を製造するシステムがあります。このキューバ製品は、尋常性白斑の塗り薬としてインドに輸出されています。

プラセンタの、尋常性白斑(肌の一部が白くなる病気)への治療効果は、アメリカ皮膚科学会からも認められています。

ロシアでは、プラセンタを主に美容目的で使用しています。

1930年頃の旧ソ連では、胎盤を皮下に埋め込む治療(プラセンタ埋没療法)が行われていました。

韓国、台湾では、婦人科でのプラセンタ使用が多いのに対して、東南アジア諸国では内科におけるプラセンタ使用が最も多かったと報告があります。

  • キューバでは国営の産院で、各種ウィルス検査済の健康な母体から提供された胎盤が、胎盤療法センターに集められ、製品化され、国内外でのプラセンタ治療に用いられている

日本美容外科学会誌 43(1): 30-30, 2006

稗田博士は、敗戦後、ソ連の医師フィラトフ博士の「埋没療法」からヒントを得て、皮下への組織埋没治療を実践。いろいろな組織を埋没した結果、胎盤が1番治療効果が高かった

組織療法(ソビエト式埋没療法文献集).2000;18-35

プラセンタの使用が多い順

  • ロシアでは、美容>肝炎>皮膚疾患
  • 韓国、台湾では、婦人科>内科>整形外科>美容外科
  • 東南アジア諸国では、内科>美容外科>皮膚科

日本美容外科学会誌 43(1): 30-30, 2006

 

海外では、『プラセンタの静脈注射(点滴療法)』、『つぼ打ち注射』が多い

日本のプラセンタは海外へ輸出されており、特にラエンネックは、ロシア、韓国、東南アジア諸国に出荷されています。

海外では、ラエンネックは点滴製剤として静脈注射して用いられています。

また、上腕(二の腕)の皮下に打つ事が多い日本と異なり、海外ではプラセンタの『つぼ打ち注射』も広く行われています。

 

その他のプラセンタ治療

  • 大昔から、胎盤を皮下に埋め込む治療がある(埋没療法)

胎盤の皮下への埋め込み手術(=埋没療法)の歴史は古く、1930年代に旧ソ連で始まりました。

冷凍保存した健康な胎盤を皮下に埋め込んでいました。

 

約1か月で吸収され、消えてなくなるとともに、いろいろな効果が確認されました。

 

胎盤の皮下の埋め込み手術

  • 1930年代は、冷凍保存した胎盤を皮下に埋め込んでました
  • 約1か月で吸収されます(無くなります)

 

プラセンタ注射のデメリット

  • 一度プラセンタ注射を行うと、一生、献血ができなくなります

プラセンタ製剤は一度注射すると献血ができないというデメリットがあります。

しかし、現時点で感染症の報告はありませんので、プラセンタは汎用性が高く安価で副作用の少ない治療の1つとして考えられます。

『プラセンタ注射をすると献血ができなくなる』というと『何かリスクがある?』と思われるかもしれませんが、制限がやや厳しい印象はあります。

プラセンタ製剤は、ヒト由来の『生物製剤』という分類になりますので、潜在的に感染リスクはあるということです。

確かに、輸血製剤の治療を受けると、一生、献血はできません。

これは、輸血製剤は非加熱ですので、やむを得ないと思います。

しかし、同じ生物製剤でも、加熱してある製剤はある一定期間が経過すると献血できるようになります。

例えば、血清アルブミンは3か月、免疫グロブリンは6か月経過すると、献血はできるようになります。

プラセンタ製剤は、加熱してあり、また加水分解処置を加えてあり、アルブミン製剤やグロブリン製剤よりも安全のように思われます。

加熱処理 加水分解 献血
輸血製剤 なし なし 禁止
血清アルブミン製剤 あり なし 3か月で可能
免疫グロブリン製剤 あり なし 6か月で可能
プラセンタ製剤 あり あり 禁止

 

プラセンタ注射やめたらどうなる?

  • アンチエイジング効果は、緩やかに元に戻ります
  • 効いていた分だけ、疲れやすくなるかもしれません

 

プラセンタを打つ理由で多いものは、下記です。

  • 更年期
  • 美容
  • 肩こり、腰痛

特に更年期が1番多いです。

更年期と言えば、疲れやすい、体調がおかしい、立ちくらみがする、など、

様々な症状が出ます。

 

プラセンタを打つと部分的にでも改善することが多いため、プラセンタ注射をやめると、

  • 疲れやすくなる
  • 体調が整わない

という症状を実感しやすいかもしれません。

体調をみて、投与の継続・中止を決定していく必要があります。

 

プラセンタを塗る効果は?

  • 塗り薬は、注射に比べると効果は乏しいと思われます

プラセンタ注射でアレルギーが出るなら、”プラセンタを塗る” というのは選択肢になります。

プラセンタの塗り薬は、さすがに注射より効果は劣ります。

 

 

プラセンタを打っても臓器提供できる?

プラセンタ注射しても臓器提供は可能

ただし、条件付きです。別の項でお話しします。

 

飲むプラセンタとプラセンタ注射の比較

飲むプラセンタも一定の効果はあると思います。

しかし、消化酵素である程度は消化されてしまうため、注射ほどの効果は一般には期待できません。

  • プラセンタのサプリや飲み薬は、プラセンタ注射ほどの濃度はありません
  • プラセンタ注射の方が、飲むよりも効果的と言えます

 

飲むブタ・プラセンタで肌質を改善

医療機関専売の『飲むプラセンタ』を1日1本、8週間連続で飲んだところ、肌質が改善したとの報告があります。

毛穴の目立ち、毛穴の黒ずみ、肌の乾燥、顔が脂っぽい、メイクののり、目尻のしわ、口元のたるみ、肌のくすみ、顔色、敏感肌、の項目で改善が見られた

医学と薬学 第73巻 11号 2016年11月

 

プラセンタを飲んでいても、やはり注射ほどの効果は期待できません

 

プラセンタを口から摂取した場合、

胃腸でプラセンタの有効成分が、分解されてしまうからです。

 

飲むだけで血中濃度が高まるようなプラセンタ製剤があれば良いのですけどね。

 

生プラセンタの定義

生のプラセンタ” という言葉がありますが、実は明確な定義はされていません

メーカーが、生と言えば、生プラセンタとなります。

加工をしていないから効果があるような印象がありますが、本当に、無加工の生の状態のプラセンタであれば、感染リスクを回避できなくなります

メーカーごとに定義が違うため、一概には言えませんが、

特に個人ブランドの生プラセンタについては、本当に危険な場合もあるため、

  • どこが、どのように生なのか?

を正しく聞いて、感染のリスクから自分の身を守りましょう。

 

生プラセンタ、という言葉には注意

  • 個人ブランドの生プラセンタは危険な場合あり、情報をよく吟味しましょう
  • 感染リスクがないか、正しく判断しましょう
  • サプリよりも注射の方が、安全で効果的と思います
    (注射なので針は刺しますが・・・)

 

関連記事

プラセンタ注射 プラセンタ注射は、ヒトの胎盤を原料として作られた注射です。 当院では、複数回のウィルスチェックを行われて製造された安全性の高い国産の製品を取り扱っています。   診察料は料金に含まれております。[…]