【医師が解説】ニキビ治療とニキビができにくい化粧品│ガイドラインに基づいて

ニキビの治療

ニキビ治療には、『ニキビの治療』と『ニキビ跡の治療』の2つがあります。

 

ニキビの治療は、『赤いニキビの治療』です。

赤ニキビの治療は、保険診療でガイドライン通りの塗り薬と飲み薬を使います。

良くならない場合は、レーザー治療などの自費診療を行います。

 

ニキビ跡の治療は、『クレーター治療』『凹凸治療』です。

これは、保険診療でできることはほとんどなく、自費診療(ダーマペン・ポテンツァなど)を提案していきます。

塗布する薬剤は、コラーゲン・マックーム・エクソソーム・ボトックス・ヒアルロン酸、などがあり、その人の肌質に合わせたオーダーメイドの治療が可能です。

 

ニキビ治療で使う主な治療薬

種類 薬の名前
抗生物質
(飲み薬)
ミノマイシン(ミノサイクリン)
ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
ルリッド
抗生物質
(塗り薬)
アクアチム(ナジフロキサシン)
ゼビアックス(オゼノキサシン)
ダラシン・デュアック(クリンダマイシン)
アダパレン
(塗り薬)
ディフェリン
ベンゾイル
(塗り薬)
ベピオ
合剤 薬の名前
ベンゾイル
+
クリンダマイシン
デュアック
ベンゾイル
+
アダパレン
エピデュオ

その他に、アダパレンとベンゾイルの合剤として、エピデュオがあります。

過酸化ベンゾイル(BPO)の製剤は、ベピオとデュアックがあります。

 

白ニキビには、アダパレン(ディフェリン)、赤ニキビには抗生剤内服が望ましいです。

 

デュアックから治療を始める場合が多い│赤ニキビ

デュアックは、ベンゾイル(ベピオ)とクリンダマイシン(抗生物質)の合剤です。

ベンゾイル単独の治療、クリンダマイシン単独の治療、の2つと比べて、デュアックの治療の方がニキビが減ったとの報告があります。

また、ディフェリンゲル(アダパレン)を塗って、大きなニキビのところだけデュアックを塗る方法もあります。

デュアックは抗生物質が入っているため、3ヶ月程度経過したら、抗生剤成分を抜いて、ベピオ単剤に変更する方法もあります。

デュアックは、CLDM単剤や、BPO単剤よりも効く

クリンダマイシン(CLDM)1%とベンゾイル(BPO)3% を併用したグループの方が、CLDM 1%単剤、BPO 3%単剤 と比べて、炎症性皮疹の数・総皮疹数が有意に減少した.

  • 症例数 1315例
  • 投与期間 12週間
  • 塗り薬の使用回数 1日1回

Eichenfield LF: Safety and efficacy of clindamycin phosphate 1.2%-benzoyl peroxide 3% fixeddose combination gel for the treatment of acne vulgaris: a phase 3, multicenter, randomized, double-blind, activeand vehicle-controlled study, J Drugs Dermatol, 2011; 10: 1382 – 1396

尋常性痤瘡治療ガイドライン2017, p1268

 

ひどい赤ニキビは、抗生物質の飲み薬も併用

ひどいニキビには、ビブラマイシンまたはミノマイシンの内服を併用

ひどいニキビには抗生剤の内服が良いとされています。

炎症真っ只中のニキビでの抗生物質は、ドキシサイクリン(ビブラマイシン)と、ミノサイクリン(ミノマイシン)が特に推奨されています

ミノサイクリンは、色素沈着の副作用があり、シミになりやすい場合もあります。

ですので、女性にはドキシサイクリンを優先して使う場合も多いです。

ひどいニキビには、ドキシサイクリンまたはミノサイクリン

炎症性皮疹の抗生剤

  • ドキシサイクリン(推奨度A:強く推奨)
  • ミノサイクリン(推奨度A*:行うように推奨)

尋常性痤瘡治療ガイドライン2017, p1273

 

3ヶ月以降の維持期には、ディフェリンかベピオ│ニキビ跡

3ヶ月の急性期治療を終えた後は、維持期の治療へ移ります。

治療ガイドラインでは、アダパレン(ディフェリン)、ベンゾイル(ベピオ)、またはそれらの合剤(エピデュオ)、が維持期の治療として最も推奨されています。

維持期は、これらの治療を1年間以上継続することが基本となります。

維持期で最も推奨される治療は、アダパレンとベンゾイル

維持期でグレードA(強く推奨)の治療

  • アダパレン
  • ベンゾイル
  • アダパレンとベンゾイルの合剤

尋常性痤瘡治療ガイドライン2017, p1267

ニキビは良くなっても維持期の治療は継続が必要

アダパレン、過酸化ベンゾイル、あるいは両者の配合剤を使用して、痤瘡(ざそう)が出なくなるまで維持療法を継続する.

症状軽快後1年以上継続するのが基本となる.

林, にきび, 小児内科 51(10): 1464-1467, 2019

 

ベピオ(ベンゾイル)とディフェリン(アダパレン)の違い

  • ベピオ    → 角質をはがす作用(強)
  • ディフェリン → 角質をできにくくする作用(弱)

ベピオは、良くない肌を剥くピーリング剤のような薬剤です。

アダパレンは、角質増生を抑制し、肌の調子を整える薬剤です。

 

ベピオは真っ赤なニキビには実は使いづらく、その場合は抗生剤治療を優先します。

ディフェリン(アダパレン)は、ベピオに比べて、安全に使用を継続できることが多いです。

ディフェリンは、『面皰(=めんぽう)』という白ニキビの状態でも効くため、初期段階のニキビも治療できます。

どちらのの薬剤でも、ニキビが治る過程で、肌のバリア(角質)を失いながら治癒させる薬なので、顔全体に塗りづらい場合は、ポイント使いでも良いです。

 

ひどいニキビ跡には、ダーマペンかレーザー治療

ひどいニキビ跡や、クレーター状の跡には、ダーマペンまたは、フラクショナルCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)が良いとされています。

フラクショナルCO2レーザーは、レーザーで皮膚表面に均一に無数のドット状スポットを作り、皮膚の再生を促すものです。

ダーマペンは、針で皮膚に穴を開け、皮膚の自然な再生力を使って、皮膚の凹凸をなだらかにする治療です。

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白ニキビの治療│毛穴が空いていないニキビ

 

  1. ディフェリン
  2. ベピオ
  3. エピデュオ
  4. デュアック

『毛穴が空いていない白ニキビ』には、アダパレン(ディフェリン)、ベンゾイル(ベピオ)、それらの合剤(エピデュオ)、ベンゾイルとクリンダマイシンの合剤(デュアック)、が有効とされています。

面皰で最も推奨される治療

面皰でグレードA(強く推奨)の治療

  • アダパレン
  • ベンゾイル
  • アダパレンとベンゾイルの合剤
  • ベンゾイルとクリンダマイシンの合剤

尋常性痤瘡治療ガイドライン2017, p1265

 

エピデュオゲル

 

アダパレン 0.1% + 過酸化ベンゾイル 2.5%

エピデュオは、アダパレンとベンゾイルの合剤です。

エピデュオは皮膚の刺激が強いため、まずはベピオ単剤や、ディフェリン(アダパレン)単剤による治療を先に行ってからエピデュオを使うことになっています(エピデュオの添付文書より)。

またエピデュオを初めから使うと日本人の肌には乾燥しがちとされる論調もあります。

ですので、デュアック(ベンゾイル 3%)から始めて、3ヶ月後にエピデュオに変更する場合もあります。

エピデュオよりもまずはベピオ単剤かディフェリン単剤の治療を考慮

本剤はアダパレンと過酸化ベンゾイルの配合剤であり、各単剤よりも皮膚症状が発現するおそれがあるため、本剤よりも先に各単剤による治療を考慮すること.

エピデュオゲル添付文書 より抜粋

過酸化ベンゾイル5%だと刺激が強すぎる

過酸化ベンゾイル5%群では、過酸化ベンゾイル2.5%群より、局所刺激製の徴候・症状が多く認められた.

maruho, 国内第Ⅱ相試験

ベンゾイル濃度の違い│BPO濃度は2種類

ベンゾイル(BPO)濃度の違い

ベンゾイル濃度 薬の名前
2.5% ベピオ・エピデュオ
3 % デュアック

過酸化ベンゾイル濃度の薬は、2種類あります。

2.5% は、ベピオとエピデュオがあります。

3% は、デュアックがあります。

 

ベンゾイルの合剤は2種類

過酸化ベンゾイル 2.5% + アダパレン 0.1%
過酸化ベンゾイル 3% + クリンダマイシン 1%

ニキビの抗生物質(塗り薬)

抗生物質の治療は、長期間しない方が良いです

ニキビのバイ菌(アクネ菌)をやっつける抗生物質の治療(ダラシンやデュアックなど)は、長期に使うとだんだん薬が効かない菌が増えてくるため、長くても3ヶ月程度の使用に留めた方が良いとされています。

抗生物質の長期使用は耐性菌ができるリスクあり

クリンダマイシン外用の長期連用によって、P. acnes が抗菌剤耐性を獲得する可能性があるため、推奨しない.

尋常性痤瘡治療ガイドライン2017, p1268

 

ニキビの抗生物質(飲み薬)

ニキビの抗生物質(飲み薬)一覧

推奨度 薬の名前
A
(強く推奨)
ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
A*
(行うよう推奨)
ミノマイシン(ミノサイクリン)
B
(行うよう推奨)
ルリッド(ロキシスロマイシン)
ファロム(ファロペネム)

尋常性痤瘡治療ガイドライン2017, p1273

抗生物質の飲み薬は、ひどいニキビの時に使われます。

抗生物質は、飲み薬と塗り薬を併用したデータはなく、推奨されていません。

抗生剤の飲み薬と塗り薬の併用は、ニキビに対して推奨されていない

内服抗菌薬と外用抗菌薬の併用には、エビデンスがないため推奨していない.

内服抗菌薬と外用抗菌薬の併用で有効性が高まるというエビデンスはなく、むしろ多剤耐性を誘導する可能性もあることから、推奨は困難.

林, にきび, 小児内科 51(10): 1464-1467, 2019

 

 

ニキビ治療の補助薬

種類 薬の名前
ビタミン シナール(ビタミンC)
ハイチオール(Lシステイン)
フラビタン・ハイボン(ビタミンB2)
ピドキサール(ビタミンB6)
漢方 荊芥連翹湯
黄連解毒湯
十味敗毒湯
桂枝茯苓丸

ガイドラインでは、通常のニキビ治療を行っても良くならない場合、ビタミン剤や漢方なども勧めらています。

 

ニキビの種類│白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビ

  1. 白ニキビ (初期段階・面皰めんぽう)
  2. 黒ニキビ (毛穴が開いて酸化)
  3. 赤ニキビ (炎症)

ニキビには、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、の3種類があります。

白ニキビや黒ニキビを放置しておくと、赤ニキビへ悪化します。

赤ニキビは、痛くて辛い状態です。

軽い赤ニキビなら、抗生物質の塗り薬だけで良くなったりしますが、ひどい赤ニキビには抗生物質の飲み薬を使用します。

 

ニキビができやすいところ・年齢

ニキビは、中学1年生くらいに、『おでこ』からでき始めてきます。

高校生でピークを迎え、大人になるにつれ、少し薄くなってきます。

40代以降の女性は、男性ホルモンの割合が増えることで、ヒゲが生えるあたりの『口まわりからアゴにかけて』ニキビができることが多くなってきます。

 

学生時代のケアを誤ると、『ニキビ跡』が残って、大人になってからレーザー治療をしたり、苦労したりします。

ニキビは、額(ひたい)からでき始めることが多い

ニキビは、額(ひたい)から始まり、顔から体の順に広がる事が多いです

ニキビ(尋常性ざ瘡)は、13歳頃におでこからでき始めます。

その後、アゴ、頬へ広がり、体の方もニキビができていきます。

にきび(尋常性ざ瘡)はおでこにできやすい

初発時は、額から始まることが多いく、次第にほほやアゴ、体幹へと拡大する.

林, にきび, 小児内科 51(10): 1464-1467, 2019

 

ニキビのピークは高校生

ニキビは、高校生が1番できやすい

ニキビは高校生にできやすく、『青春の証』とも言われています。

女の子では、『初めての生理』の少し前からニキビができやすくなります。

しかし、ニキビができにくいに越したことはありません。

ニキビのピークは高校生

にきびは、13歳頃に発症し、高校生のころにピークを迎える.

女子では初潮の少し前から発症する.

林, にきび, 小児内科 51(10): 1464-1467, 2019

 

お年寄りは、黒ニキビが多い

お年寄りの黒ニキビは、芯を取ったり、塗り薬を使ったり、レーザー治療を行ったりする

お年寄りは、毛穴が開いた黒ニキビができやすいです。

黒ニキビは、中身の芯を押し出したり、塗り薬(ディフェリン)を塗ったり、炭酸ガスレーザーを使ったりします。

老人性面皰(にきび)・黒ニキビの治療

圧出子を用いて圧出したり、炭酸ガスレーザーにより除去したりできるが、緩徐に再発する.

近年、アダパレンゲルの外用の有用性が報告されている.

石浦, 顔のぶつぶつ, 診断と治療 107(suppl): 76-77, 2019

 

 

ニキビの原因

『皮脂の汚れ』が原因です。

ニキビの原因となっているバイ菌は、『アクネ菌』と言います。アクネ菌のフルネームは『キューティバクテリウム・アクネ』と言います。

 

アクネ菌自体が良くないわけではなく、『悪いアクネ菌』が増えるとニキビの素になります。

 

ニキビの原因は、悪いアクネ菌であり、良いアクネ菌は放置でも構いません。

ニキビの治療は、悪いアクネ菌のみを除去するために抗生剤を内服します。

 

アクネ菌の名前が変わった

 

プロピオニバクテリウム・アクネ(Propionibacterium acnes)
キューティバクテリウム・アクネ(Cutibacterium acnes)

2016年、遺伝子解析によって、『ニキビをの原因となっているアクネ菌』の名前が『キューティバクテリウム・アクネ』に変更になりました。

遺伝子解析によってアクネ菌の名称が変更された

ゲノム配列に基づいて、プロピオニバクテリウム属が再分類された.

Scholz CFP, The natural history of cutaneous propionibacteria, and reclassification of selected species within the genus Propionibacterium to the proposed novel genera Acidipropionibacterium gen. nov., Cutibacterium gen. nov. and Pseudopropionibacterium gen. nov. Int J Syst Evolution Microbiolo 66:4422‒4432, 2016