成人男性のコンプレックスとして、昔からよく挙げられる「薄毛」。
近年ではAGAとして浸透してきています。
実際、自分自身がAGAになると精神的ストレスは非常に大きく、誰しもが避けたい問題の1つであるとよく挙げられます。
例えば,AGAがバレないように…
- 汗をかくことを避ける
- 帽子を被る
- プール(銭湯など)には入らない
といった、行動を制限(または行動をとる)しやすく、場合によっては日常生活に影響が及ぶことがあります。
このAGAの症状や原因などについては「あまり調べたことがない。」「自分には必要ない」と思う方は少なくありません。
確かに、今は髪がふさふさで薄毛とは無縁かもしれません。
しかし、知っておければ防げることもあります。
後で後悔しないように、『今知れてよかった』と思える、AGAについての知識をつけてみてはいかがでしょうか?
今回はの記事では…
- 「AGA」がなぜ引き起こされるのか
- 「AGA」とは一体どのような症状を経て薄毛へとつながってしまうのかな
- 「AGA」の進行を防ぐための生活習慣
などについて解説したいと思います。
この記事を読んで早く知れてよかった。と思う人が少しでも増えたらと思います。
AGAとは?
AGAを知るためには、【そもそもAGAとはなにか?】について知らなければいけません。
AGAは「AndroGenetic Alopecia」を略して呼ばれていますが、日本語にすると「男性型脱毛症」となります。
特徴としては…
AGAは成人男性によくみられる症状で、前頭部の生え際の両側性の後退と、それに続く頭頂部のびまん性菲薄化が特徴とされています。
Piraccini BM, Alessandrini A. Androgenetic alopecia. Giornale Italiano di Dermatologia e Venereologia : Organo Ufficiale, Societa Italiana di Dermatologia e Sifilografia. 2014 Feb;149(1):15-24.
脱毛の発生率に関しては、このような報告もあります。
AGA は、アジア人にもよく見られる疾患であるが、40歳以前はほとんど見られず、年齢とともに増加するものの、ヨーロッパ人に比べて低い発生率にとどまることがわかった。日本人男性はヨーロッパ人より約10年遅れてAGAを発症し、その有病率は各年齢で1.4倍低くなっている
Lee, W.-S., & Lee, H.-J. (2012). Characteristics of Androgenetic Alopecia in Asian. Ad, 24(3), 243–252.
また、AGAは男性ホルモンが関係すると言われます。
男性ホルモンであるテストステロンは、分泌されたときは髪に悪さはしませんが、血流のり毛根近くにたどり着いた時に、皮脂腺から分泌される酵素の影響で、ジヒドロテストステロンというホルモンに変わるとされています。
このジヒドロテストステロンというホルモンは髪にとっては“悪玉ホルモン”と呼ばれ、通常2年~6年かかる髪の毛の生え変わりサイクルを短縮してしまう可能性があります。
このサイクルが短縮することで、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりします。
AGAになる原因
AGAになる原因はいくつかありますが、今回は3つ紹介します。
ホルモン
上述したように、脱毛にはジヒドロテストステロンというホルモンが関与します。
髪の毛にある毛乳頭細胞には、「男性ホルモンレセプター」と呼ばれる受容体が存在し、ジヒドロテストステロンは男性ホルモン受容器に取り込まれます。
男性ホルモン受容器にジヒドロテストステロンが取り込まれると、脱毛因子「TGF-β」が発生し、髪の毛を成長期から退行期へと移行させます。
その結果、髪の毛のヘアサイクルが乱れて抜け毛が増加し、薄毛が進行します。
遺伝
AGAはさまざまな要因によって発症する脱毛症です。
今回は原因を4つ挙げていますが、その中でも遺伝的要素が強いと考えられています。
AGA発症の原因となる遺伝的要素には、以下の2つがあります。
- 5αリダクターゼの活性度
- 男性ホルモン受容器の感受性
どちらか、または両方を遺伝を受け継いでいる方は、AGAが発症する可能性があります。
それぞれの詳細は以下となります。
①5αリダクターゼの活性度
5αリダクターゼの活性度が高い方は、ジヒドロテストステロンを過剰に生成しやすい体質となります。
また5αリダクターゼ活性を持つ遺伝子は優性遺伝なので、父親・母親のどちらかがその遺伝子を持っている場合、5αリダクターゼの活性度を引き継ぐ可能性が高くなるとされます。
これらのことから、AGAは遺伝によって発症する可能性があると考えられています。
男性ホルモン受容器の感受性
男性ホルモン受容器の感受性は遺伝によって引き継がれやすい特性があります。
受性が高いとジヒドロテストステロンを受容し、脱毛因子が増えやすく、AGAを発症しやすいと考えられます。
また、男性ホルモン受容器の感受性は隔世遺伝(祖父母以前の世代の遺伝子を世代を超えて引き継ぐこと)すると言われています。
つまり、両親が薄毛でなくても、先祖に薄毛だった人がいれば、その子孫となる方は男性ホルモン受容器の感受性を引き継ぐ可能性があります。
特に男性ホルモン受容器の感受性を持つ遺伝子は、母親の家系から遺伝する傾向で、母親の家系に薄毛の人がいればその子孫はAGAになる可能性が高まります。
生活習慣
偏った食事や不規則な生活が直接的にAGAの症状を進行させるかは不明です。
しかし、偏った食生活が原因で頭皮環境の悪化につながり、薄毛を進行させる可能性はあります。
前述した『ホルモン』や『遺伝』に関しては気をつけても改善しようがないですが、生活習慣は別です。
自分自身の意識や行動を変えることでAGAの進行性を防げるかもしれない生活習慣。
以下の点に注意しながらぜひ、一度は見直してみましょう。
バランスの取れた食事
健康な頭皮環境や毛髪づくりに欠かせない栄養素は「ビタミン」「たんぱく質」「亜鉛」の3つです。
・ビタミン
ビタミン類は健康な毛髪の成長には欠かせない栄養素となります。
下記は、いずれも意識して摂りたいビタミンです。
ビタミンA | 頭皮の乾燥を予防 |
ビタミンB群 | 細胞分裂の活性化(ビタミンB2)、新陳代謝を促進(ビタミンB6) |
ビタミンC | 毛細血管の生成を促進 |
ビタミンE | 抗酸化作用 |
また、ビタミンB群は肉類やたまご、ビタミンEは魚類やナッツなど、ビタミンAはレバーやうなぎ、ほうれんそう、にんじん、バターなどから摂取することができます。
・たんぱく質
髪の毛の主成分は、18種類のアミノ酸が結合してできた「ケラチン」というタンパク質です。
髪の毛の99%がケラチンで構成されています。このケラチンが不足すると、髪の毛の主成分がなくなることに繋がり、健康な髪の毛は育ちません。ケラチン不足を防ぐためには、ケラチンの元になるアミノ酸を多く含んだタンパク質を摂取するようにしましょう。
摂取する際には、鶏肉や牛肉、豚肉、 マグロ、イワシといった動物性たんぱく質の他、豆腐や高野豆腐、豆乳といった植物性たんぱく質もバランスよく摂りましょう。
・亜鉛
亜鉛は、皮膚や髪の毛の新陳代謝を活性化させる働きがあり、健康状態を維持します。
たんぱく質の項でケラチンが重要だと説明しましたが、単純にたんぱく質を取れば良い、という訳ではありません。
ケラチンを作るために亜鉛も必要であるため、タンパク質を摂っているけど髪の毛が増えないと感じる方は、亜鉛が不足している可能性が高いです。亜鉛が含まれている食品としては、カキやチーズ、レバー、煮干し、海苔などが挙げられます。
十分な睡眠時間
睡眠不足は頭皮環境の悪化を招いて薄毛の原因となることが考えられます。
また、髪の毛は睡眠中に成長しているとも言われており、1日に最低でも6-7時間以上の睡眠をとるといいです。
ここでもホルモンが関係してくるのですが、男性ホルモンであるテストステロンが減少すると、これを補おうとして5α-還元酵素とテストステロンの結合が進み、ジヒドロテストステロンが生成され薄毛が進行します。
飲酒・喫煙を控える
飲酒も抜け毛に関係するとされます。
身体内では、アルコールを分解する際にアミノ酸が使われます。
このアミノ酸が使われることで毛髪を作るために必要なアミノ酸が不足し、ケラチンも不足する。といった結果を辿る事となる。
また、アルコールを分解した際に作られる有害物質(アセトアルデヒド)はAGA を悪化させるジヒドロテストステロンを増やす可能性も示唆されています。
喫煙もAGAを悪化させる要因となります。
喫煙は毛細血管が収縮し血流を低下させます。すると、髪を作り出す毛母細胞に栄養が行き届きにくくなります。
血行不良により頭皮や体温が低下することも毛髪にとってはよくありませんので注意が必要です。
薄毛を予防したい場合は、できるだけ禁煙と適度な飲酒量に抑えることが大切です。