【目の中のMRI検査】目が飛び出る病気は、くも膜下出血の前兆?失明の危機?

『目が飛び出る病気』の原因で、1番多いものはバセドウ病です。

『目が飛び出る病気』で1番多いものは、バセドウ病です

バセドウ病で目が飛び出たまま放置しておくと、そのまま失明してしまうことがあります。

ですので、きちんと診断をつけて、早く治療に入らなければいけません。

バセドウ病で目が飛びてていると、失明することがあります

 

目が飛び出る病気には、バセドウ病の他に、『目の周りの腫瘍』『脳の血管の病気』の場合もあります。

『目の周りの腫瘍』が癌であれば、命を落とすことがあります。

『脳の血管の病気』で目が飛び出ている場合は、くも膜下出血を起こして命を落とす場合があります。

『目が飛び出る病気』で、命を落とすことがあります

『ちょっと目が大きくなったかな?』とか『目が飛び出てきたかな?』と思ったら、手遅れにならないうちに、一度かかりつけの先生に相談しましょう。

 

結論:『目が飛び出る怖い病気』は『目のMRI』で診断│バセドウ病・腫瘍・血管の病気

  1. 血管の病気
  2. ホルモン(甲状腺)の病気
  3. 腫瘍
  4. 炎症

目が飛び出る病気は、血管が異常につながってしまう病気、甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気、腫瘍または炎症によって目の奥に塊を作ってしまう病気、があります。

血管が異常につながってしまう病気では、目の奥の血管の圧力が高まって、目が押し出されてしまいます。

甲状腺ホルモンが出過ぎる病気では、目の周りの筋肉が分厚くなって、目が押し出されてしまいます。

腫瘍や炎症の病気では、目の奥に塊をつくって、目が押し出されてしまいます。

 

目が飛び出る病気は、MRI画像で診断します

目の後ろに塊があれば、腫瘍か炎症が原因ということになります。

筋肉が分厚くなってきたら、甲状腺ホルモンの血液検査を追加します。

血管がつながっている病気が疑われたら、カテーテル検査を追加します。

『目が飛び出る病気』は『バセドウ病』が1番多い│確率の高い順ランキング

 

  1. バセドウ病
  2. 感染・炎症
  3. 腫瘍

『目が飛び出る病気』で1番多いのは、『バセドウ病』という甲状腺の病気です。

バセドウ病で目が飛び出ること』を、『甲状腺眼症(こうじょうせん・がんしょう)』とも言います。

『甲状腺眼症』は、きちんと治療すれば治ることも多いですが、放置すると失明する可能性もあります

眼球突出を起こす病気(頻度順)

  1. 甲状腺眼症
  2. 眼窩蜂巣炎
  3. 特発性眼窩炎症
  4. 眼窩腫瘍
  5. IgG4関連眼疾患

嘉鳥, 形成外科 62(増刊): S109-S109, 2019

眼窩蜂巣炎は、目の後ろにバイ菌が感染した病気です。

組織が腫れて目が飛び出ます。

眼窩膿瘍は、目の後ろに膿の塊を作ります。

特発性眼窩炎症・IgG4関連眼疾患は、バイ菌に感染していないのに、眼の周りに炎症が起きて、組織が腫れることで眼が飛び出てしまう病気です。

目が飛び出る病気一覧│医師向け内容

 

  1. 硬膜動静脈瘻(こうまく・どうじょうみゃく・ろう)
  2. 内頚動脈海綿静脈洞瘻(ないけいどうみゃく・かいめんじょうみゃくどう・ろう)
  3. 甲状腺眼症(こうじょうせん・がんしょう)
  4. バセドウ病
  5. 特発性眼窩炎
  6. IgG4 関連眼疾患
  7. 炎症性偽腫瘍
  8. 肉芽腫
  9. 腫瘍
  10. 悪性リンパ腫
  11. 粘膜関連リンパ組織型節外性濾胞辺縁帯リンパ腫
  12. 膿瘤
  13. 粘液嚢

目が飛び出る病気は、数が多いです。

腫瘍は頻度が多く、画像診断できるため、特に見逃してはいけない病気です。

眼球突出を起こす病態│炎症・血管・腫瘍・先天性

炎症性疾患:

  • 特発性眼窩炎症,
  • 眼窩感染症
  • 眼窩蜂巣炎
  • 眼窩真菌症

全身性疾患:

  • 甲状腺眼症
  • ANCA関連眼窩炎症性疾患
  • 白血病

腫瘍性疾患:

  • 眼窩腫瘍

血管異常疾患:

  • 頚動脈海綿静脈洞痩(CCF)
  • 眼窩静脈瘤

先天性疾患:

  • 頭蓋縫合早期癒合症
  • Crouzon症候群

副鼻腔疾患:

  • 副鼻腔悪性腫瘍

外傷眼科手術既往

嘉鳥, 形成外科 62(増刊): S109-S109, 2019

 

『目のMRI』の撮影│コツは『薄切り』│医療者向け内容

 

  1. 薄くスライスした撮影
  2. 病気がよく見える撮影
  3. 血管の撮影

目の奥の病気の見逃しを防ぐためには、『予防される病気がよく見えるような工夫した撮影』が必要です。

目の奥の病気を見るMRI検査の方法│放射線技師向け

  • 3D撮像(薄切り・再構成)
  • 脂肪抑制T2冠状断(視神経の評価)

安藤, 臨床画像 35(suppl-1): 78-79, 2019

 

 

甲状腺眼症とは?

バセドウ病で目が飛び出ることを、『甲状腺眼症』と言います

甲状腺の病気が原因で『目が飛び出る』ことを、『甲状腺眼症(こうじょうせん・がんしょう)』と言います。

目が飛び出る甲状腺の病気のほとんどは、『バセドウ病』ですが、時に『橋本病』でも、目が飛び出ることがあります。

『甲状腺眼症』とは、バセドウ病で目が飛び出た状態

甲状腺眼症は、バセドウ病や稀に橋本病に伴ってみられる眼窩組織の自己免疫性炎症性疾患である.

バセドウ病悪性眼球突出症(甲状腺眼症)の診断基準と治療指針 2018

 

甲状腺眼症の症状

  1. 目が飛び出る
  2. 目の充血
  3. 目の腫れと痛み
  4. 目が見えづらい

治療が遅いと、目の見えづらさが悪化し、失明することもあります。

甲状腺眼症の症状│医療者向け内容

 

甲状腺眼症の症状一覧│主に目の赤み・痛み・腫れ

  1. 眼や眼の周囲の痛み
  2. 流淚(なみだが出る)
  3. 眼瞼後退
  4. 眼瞼腫脹
  5. 結膜の充血や浮腫
  6. 涙丘の発赤や腫脹
  7. 眼球突出
  8. 兎眼(とがん:目が閉じない)
  9. 複視
  10. 視力低下
  11. 視野欠損
  12. Graefe 徴候
  13. 眼球運動障害
  14. 角膜障害(びらん、潰瘍、混濁、壊死、穿孔)
  15. 視神経症
  16. 網膜障害

バセドウ病悪性眼球突出症(甲状腺眼症)の診断基準と治療指針 2018

 

 

甲状腺眼症の診断

バセドウ病の検査所見と、目の症状があれば、甲状腺眼症の診断となります。

程度の評価は、MRIで目を動かす筋肉がどれだけ腫れているかを検査します。

 

甲状腺眼症の治療│バセドウ病で目が飛び出た場合はステロイド治療

バセドウ病で、目が飛び出た場合は、ステロイド治療を行います。

あまり効果がない場合は、手術します。

甲状腺眼症の治療方針│医療者向け

最重症の甲状腺眼症の場合、ステロイドパルス2クール行って改善なければ、眼窩減圧術。

緑内障がある場合は、いきなり(手術)眼窩減圧術をします。

 

子供も目が飛び出ることがある│多くは腫瘍

子供でも目が飛び出ることがあります。

多くは腫瘍なので、早く医療機関を受診して診断・治療に入りましょう。

 

子供の目の奥にできる腫瘍

  1. 血管腫
  2. 炎症の腫瘍(良性腫瘍)
  3. 悪性腫瘍

子供の目の奥にできる腫瘍は、大きく3種類あります。

腫瘍が大きくなるスピードで、どの種類の腫瘍か、だいたい予想できます。

目の奥の腫瘍が、『生まれつきある』パターンなら、『苺状血管腫(いちごじょう・けっかんしゅ)』。

『ある日突然大きくなる』パターンなら、『リンパ管腫(りんぱかんしゅ)』。

週毎に大きくなるものは、良性腫瘍・悪性腫瘍、いろいろあります。

悪性腫瘍で特に悪いものは、肉腫(にくしゅ)、白血病、神経膠腫(しんけいこうしゅ)、です。

これらは、MRIを行い、手術で細胞を採ってくることで診断がつきます。

子供の目の奥の腫瘍│小児の眼科内腫瘍

「生下時から日に日に増大する」⇛ 苺状血管腫

「ある口突然増大する」⇛ リンパ管腫急性増悪に代表される良性疾患

「週ごとに増大する」 ⇛ 横紋筋肉腫、ランゲルハンス組織球症、緑色腫(白血病細胞による固形腫瘍)、神経芽細胞腫の眼窩内転移などの悪性腫瘍

嘉鳥, 形成外科 62(増刊): S109-S109, 2019

 

目が飛び出る血管の病気|硬膜動静脈瘻

脳の血管の病気で、目が飛び出ることがあります

脳の血管の異常で、目が飛び出る症状が出ることがあります。

診断は、脳のMRIで行います。

目が飛び出る血管の病気のことを、『硬膜動静脈瘻(こうまく・どうじょうみゃく・ろう)』と言います。

この病気を持っている人は少ないですが、丁寧に診療をしていると、しばしば遭遇します。

 

まとめ:目が飛び出るときは、頭のMRIと血液検査が必要

目が飛び出る病気は、ホルモン異常などの血液検査でわかる病気や、腫瘍などMRIで診断できるかたまりがある場合です。

気になった場合は、早めに専門の先生に診てもらうようにしましょう。

もちろん当院でも診断いたします。