AGA治療戦略の結論はシンプルです。
AGAのガイドラインでは、デュタステリド(飲み薬)などの男性ホルモンをブロックする薬と、ミノキシジルの塗り薬がAランクの最も良く効く治療です。
2番目に効くBランクの治療は、LEDライトがあります。
LEDライトは、男女ともに抜け毛や薄毛の治療に効果的で、当クリニックでも人気の治療です。
その他、学会でCランクに認定された治療はいろいろありますが、効果は曖昧です。
これらのAGA治療が効かないときは、『自毛植毛(じもう・しょくもう)』という、『自分の後頭部の毛を、M字・前頭部・頭頂部に植える治療』をおすすめします。
気になることがありましたら、当クリニックの受付にてお伝えください。
LEDライト(ヒーライト)はネット予約(https://airrsv.net/beauty-sato)できます。
成人男性のコンプレックスとして、昔からよく挙げられる「薄毛」。 近年ではAGAとして浸透してきています。 実際、自分自身がAGAになると精神的ストレスは非常に大きく、誰しもが避けたい問題の1つであるとよく挙げられます。 &[…]
AGA治療の戦略&コンセプト
AGA(男性型脱毛症)治療は、
- 髪の毛が少なくなるのを防ぐ治療
- 髪の毛を増やし、太くする治療
の2つの治療を組み合わせることで効果的な治療ができます。
AGA治療薬 | |
① 髪の毛が少なくなるのを防ぐ治療 | ・フィナステリド(プロペシア®) ・デュタステリド(ザガーロ®) |
② 髪の毛を増やし、太くする治療 | ・ミノキシジル ・サプリメント |
結論:AGA治療薬の組み合わせは限られている
AGA治療の最も強い治療の組み合わせは、下記の通りです。
- デュタステリド(またはフィナステリド)
- ミノキシジル飲み薬
- 5%ミノキシジル塗り薬
- サプリメント
- LEDライト(ヒーライト:医療用レーザー)
一般に、飲み薬と塗り薬を比べると、飲み薬の方が効果があるとされています。
あとは副作用やデメリットで、減薬するということになります。
これらを使っても、毛が抜けて、進行するなら、自毛植毛(じもう・しょくもう)となります。
自毛植毛は、『後頭部の元気な毛を、脱毛部分に移植する手術』です。
自毛植毛のリスクは、傷の感染、毛の採取部分の脱毛、と一般的なものです。
LEDライト(ヒーライト)はネット予約(https://airrsv.net/beauty-sato)できます。
女性の抜け毛・薄毛の治療│FAGA・FPHL
FAGA(女性型脱毛症)の治療は、『フィナステリドとデュタステリド以外の治療』となります。
当院では、学会でも推奨度の高いLED(医療用レーザー)による薄毛治療を行っています。
LEDライトは、男女ともに可能である効果の高い治療です。
スピロノラクトンを処方する場合もあります(採血の実施が必要)。
受付でお申し付けください。
AGAの治療の正しい最新知識
男性型脱毛症(AGA)は、きちんと認められた治療があります。
正しい知識は、全国の医師が参考にしている『診療ガイドライン』から得られます。
しかし、ガイドラインの解釈は難しいので、その内容をこの記事でなるべくわかりやすく解説しています。
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AGA薬の簡単なまとめ
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おすすめのAGA治療は、デュタステリド・フィナステリド の飲み薬
フィナステリド・デュタステリドは、男性ホルモンを抑えることで、髪の毛が抜けにくくする飲み薬です。
フィナステリドとデュタステリドを両方同時に飲むことは原則ありません。
フィナステリドとデュタステリドは、前立腺がんの腫瘍マーカー(PSA)が約半分になるため、健康診断などでは医師にあらかじめ内服を伝えておく必要があります。
おすすめの塗り薬は、ミノキシジル5%ミノキシジルは、医療の業界では、『塗り薬は効果的、飲み薬は危険』と言われています。
ミノキシジルの飲み薬が危険と言われるのは、大規模な研究データがないからです。
現状では、ミノキシジルの飲み薬は、個人輸入や医師の診察の元、処方されていることもしばしばあります。
おすすめのサプリは、ビオチンと、Lシスチン(Lシステイン)サプリメントで、アミノ酸・ビタミン・ミネラル、を摂取することで、髪の毛が太くし、ハリ・ツヤ・コシを取り戻せます。
補助的な治療としては、LED・低出力レーザーを照射する方法も医学的に効果があると認められています。
これらの治療をまずは6か月継続することが望ましいとされています。
これでダメなら、自毛植毛しかないこれらの治療でも満足度が得られない場合は、『後頭部の髪の毛を、脱毛部分へ移植する手術』という自毛植毛となります。
自毛植毛のリスクは、頭皮に傷ができること、傷からの感染、植毛用の毛の採取部分から毛が生えないこと、です。
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AGAとFAGAの診療ガイドライン2017
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AGA治療薬 推奨度 ① フィナステリド(プロペシア®)内服は有用か? 男性A、女性D ② デュタステリド(ザガーロ®)内服は有用か? 男性A、女性D ③ ミノキシジル外用は有用か? A ④ 植毛は有用か? 自毛植毛:男性B、女性C1 人工毛植毛:D ⑤ LEDおよび低出力レーザー照射は有用か? B ⑥ アデノシン外用は有用か? 男性B、女性C1 ⑦ カルプロニウム塩化物の外用は有用か? C1 ⑧ t–フラバノン外用は有用か? C1 ⑨ サイトプリンおよびペンタデカン外用は有用か? C1 ⑩ ケトコナゾール外用は有用か? C1 ⑪ かつらの着用は有用か? C1 ⑫ ビマトプロストおよびラタノプロスト外用は有用か? C2 ⑬ 成長因子導入および細胞移植療法は有用か? C2 ⑭ ミノキシジル内服は有用か? D 推奨度 A 強く勧める B 行うよう勧める C1 行っても良い C2 行わない方が良い D 行うべきではない 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
AGA治療の種類を解説
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デュタステリド・フィナステリド
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AGA治療の第1選択は、デュタステリド(ザガーロ)または、フィナステリド(プロペシア)
デュタステリドかフィナステリドは、まずはじめに飲むべき薬です。
デュタステリドの方が、フィナステリドよりも、1.6倍生えるという国際的に有名な研究データがあります。
これらは、毛が抜ける原因となる男性ホルモンを抑えることで、脱毛を防ぎます。
副作用として、EDがありますが、頻度(確率)は少ないです。
研究データによっては、EDの副作用は、出たり出なかったりするので、確率はやはりそう多いものではないです。
デュタステリド(ザガーロ)の方が、毛が生える
917人を対象としたランダム化比較試験で、増加した毛髪数(直径2.54cm2あたり)は、フィナステリド1mgで 56.5本、デュタステリド0.5mgで 89.6本であった.
また、フィナステリド・デュタステリドの副作用として、5-6%に勃起不全(ED)が見られたが、プラセボ群4%と有意差はなかった.
Gubelin Harcha W: J Am Acad Dermatol; 70: 489-498, 2014
フィナステリド・デュタステリドでのEDの副作用は非常にまれ
- フィナステリドでのEDの副作用はほとんどない
- デュタステリドでのEDの副作用率は、約5-11%
EDの副作用が出る確率は少ないです。
しかし、フィナステリドよりも、デュタステリドの方がやや出やすいと言われています。
前項のデータでも、フィナステリドとデュタステリドのEDの副作用率は5-6%でしたが、内訳を見ると、デュタステリドの方がEDになることが多いようです。
多くの医師が参考にしている最も有名なデータでは、EDの副作用が出る確率は、フィナステリドでは0.2%、デュタステリドでは5-11%と報告されています。
プロペシアの副作用は少ない
フィナステリド(プロペシア)の8年間の再審査報告書では、0.2 % 程度である.
板見: Bella Pelle 3(3): 182-185, 2018
デュタステリドは、EDの副作用が少し高い
デュタステリドは、国際臨床試験において性機能障害(ED)は、3-5%であったが、国内の非ランダム化試験では,5-11%と比較的高率であった.
Tsunemi: J Dermatol: 43(9): 1051-1058, 2016
『前立腺がん』を見逃さないように、かかりつけの先生に薬のことを伝える
- フィナステリド・デュタステリドを飲んでいると、前立腺がんの腫瘍マーカー(PSA)が、約半分になる
- PSA値を2倍して評価する必要あり
- 健康診断では、担当医の先生にAGA薬を伝えておく必要あり
フィナステリド・デュタステリドを飲んでいると、前立腺がんの腫瘍マーカー(PSA)が、約半分になります。
ですので、健診などでのPSAの結果は、2倍して判定する必要があります。
例えば、健診結果で、PSAが3という値だったら、本当は6という値です。
PSAは4以上の値で、『受診・精査が必要』と判定されるため、フィナステリドとデュタステリドを飲んでいる方は、かかりつけの先生や健診の時に、内服している事を伝える必要があります。
また、50歳以上の男性であれば、飲み始める前に、あらかじめ血液検査でPSAを測っておく方が無難です。
前立腺がんのチェックの注意点(PSA値)
フィナステリド・デュタステリドの投与によりPSAが50%程度低下するため,50歳以上では内服前にPSAを測定しておくことが望ましい.
板見: Bella Pelle 3(3): 182-185, 2018
女性はフィナステリドとデュタステリドを飲めない
- 女性は、フィナステリドとデュタステリドを飲めない
- 女性が飲むと、赤ちゃんに奇形ができるおそれがある
女性は、フィナステリドとデュタステリドを飲めません。
なぜなら、女性には無効であることが証明されているからです。
また、妊婦に投与すると男児の生殖器に奇形ができる可能性があり、女性は薬自体を素手で触らないように添付文書に記載があります。
女性はフィナステリド・デュタステリドを飲めない
フィナステリドやデュタステリドを妊婦に投与するとDHTの低下により男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れがある.
長田; 日本医事新報; 4930, 10.20, 35-40 2018
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ミノキシジルの飲み薬
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学会のガイドラインでは、ミノキシジルの飲み薬は推奨されていません
学会のガイドラインでは、ミノキシジルの飲み薬は推奨されていません。
推奨されていない理由は、①確かなデータがない、②心臓に負担がかかる副作用がある、からです。
しかし、ミノキシジルの飲み薬は、AGAのクリニックでは医師の裁量で処方されています。
個人輸入品については、安全性の観点からは推奨されません。
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ミノキシジルの塗り薬
- AGAの塗り薬は、ミノキシジルが有名です。
AGAの塗り薬は、実際は下記の7種類があります。
- ミノキシジルの塗り薬
- アデノシンの塗り薬
- カルプロニウムの塗り薬
- t-フラバノンの塗り薬
- サイトプリン・ペンタデカンの塗り薬
- ケトコナゾールの塗り薬
- ビマトプロストの塗り薬
この中で、最も効果があるとされているのが、ミノキシジルの塗り薬です。
ミノキシジルの塗り薬の濃度は、男性では 5%、女性では 2% が推奨されています。
ミノキシジルの塗り薬も、脈が早くなるなどの心臓に負担がかかるような副作用が出る可能性があるため、医師からの処方が推奨されます。
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AGAのサプリメント
- 下記のものが医学論文の研究データとして認められている成分となります。
- ビタミン A
- ビタミン B 群
- ビタミン C
- ビオチン
- パントテン酸
- L-シスチン
- ミレットエキス
- 亜鉛
- 鉄
- 銅
- マグネシウム
- カルシウム
これらの栄養素の入ったサプリメントの摂取が、発毛効果につながります。
特に、ビオチンは毛包のタンパク合成を速くし、L-シスチン・パントテン酸は、ケラチンを補強し、髪を硬くする、と言われています。
なお、ビオチン・L-シスチンに飲みすぎはないとされています。
パントテン酸は、便秘薬として処方することもあり、飲みすぎると下痢をすることがあります。
成分名 製品名(病院の処方薬) ビオチン ビオチン L-シスチン(Lシステイン) ハイチオール パントテン酸 パントシン ビタミンB群 ビタメジン ビタミンC シナール AGAに効くサプリメントの医学論文①
ミレットエキス 420 mg/日、パントテン酸27.6 mg/日、L-シスチン6 mg/日、ビオチン200μg/日 を含有する錠剤を90日間摂取すると、毛髪密度・頭髪の外観において、有意な改善が認められた.
潘, Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)vol. 47; no. 10, 2019
AGAに効くサプリメントの医学論文②
毛髪の質に影響を与えるビタミンとしては、ビタミン C・ビタミン A・ビタミン B 群などがあり、ミネラルとしては亜鉛・鉄・銅・マグネシウム・カルシウム、があげられる.
Goluch︱Koniuszy ZS: Prz Menopauzalny ;15(1) 56-61, 2016
AGAに効くサプリメントの医学論文③
L-シスチンの含有量が、髪のケラチンの柔らかさや硬さに影響を与えている.
Horvath AL; Scientific World Journal; 27(9): 255-271, 2009
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LED・レーザー治療
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男性も女性も、薄毛・抜け毛の治療には、LEDライトはおすすめです
AGAに対しては、LED治療やレーザー治療を含めた光線療法が良いとされています。
レーザー照射後は、乾燥が起こりやすいと言われていますが、その分効果的な治療と言えます。
LEDライト(ヒーライト)はネット予約(https://airrsv.net/beauty-sato)できます。
気になることがありましたら、当クリニックの受付にてお伝えください。
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自毛植毛(じもう・しょくもう)
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- 自分の後ろ髪を、おでこや頭頂部に移植できる(自毛植毛)
飲み薬・塗り薬を併用しても脱毛が進行するときは、後頭部の毛を脱毛部分に移植することが有効とされています。
この手術は、専門のクリニックしかやっていない特殊な治療となります。
費用は、植える株数によって、70-300万円とさまざまですが、100万円前後のことが多いです。
自毛植毛は、最終手段
十分な満足度を得られない場合は、推奨度Bの『後頭部皮膚からの毛包単位移植』を勧めます.
板見; 日本医事新報; 4930, 10.20, 41-45, 2018
脱毛が起こる仕組み
頭皮には、約10万本の髪の毛が生えています。
そのうち、90%が活動期、10%の毛が休止期であり、この休止期の1万本の髪の毛から、毎日100本ずつ毛が抜けることになります。
シャンプー・リンスのときに100本抜けるのは、抜けすぎなので、AGAのことが多いです。
AGAでは、男性ホルモンの影響で抜け毛が多くなるとともに、髪の毛も細くなり、軟毛化(なんもうか)します。
一方で、ヒゲ・ワキ毛・VIOは男性ホルモンの影響で濃くなります。
男性ホルモン(テストステロン)が、脱毛を促進する強力な物質(ジヒドロテストステロン=DHT)に変わってしまうことで、男性型脱毛(AGA)になります。
テストステロンを、DHTに変化させる物質が、5αリダクターゼです。
フィナステリドやデュタステリドは、5αリダクターゼの働きを妨害することで、体内のDHT量を減らし、脱毛を防いでいます。
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髪の毛は1日に何本抜ける?
- 健康な髪の毛でも、平均すると1日100本抜けると言われています。
シャンプーやリンスの時だけで100本の抜け毛があれば、近い将来、薄毛で悩むことになると思います。
早めにフィナステリドなどの抜け毛予防薬を飲み始めることが、メンタル的に安定した30代・40代・50代を過ごす上で大切なことかもしれません。
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AGA薬を使い始めるタイミングは?
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短い毛が抜け始めたら、AGA薬を使い始めるタイミング『長い毛が抜ける』のは、『普通の抜け毛』ですので心配する必要はありません。しかし、『短い毛が抜ける』ことが多くなってきたら、AGAを発病しています。
また、おでこの髪をかき上げた時、おでこの生え際の毛に短い毛が混ざってきて、長さがバラバラになってきたら、AGAを発病している可能性があります。
これらの場合、フィナステリド・デュタステリドの飲み薬が効く可能性が高いです。