【便秘薬がクセにならないために】便秘外来│『自分に合う便秘薬』を見つける外来

 

便秘は、苦しくてツライものです。

便秘で苦しむ方は、高齢者・若い女性・子ども、とさまざまです。

  1. マグネシウム製剤
  2. センノシド(プルゼニド)

 

便秘の治療の基本は、『マグネシウム製剤』と『センノシド』です。

マグネシウムは、便を柔らかくする効果がありますが、便秘薬の中では弱い薬です。

センノシドは、腸を動かす効果がある強い薬です。

 

センノシドがあればだいたいの便秘は改善しますが、使いすぎるとクセになるため、センノシドを連日使用する場合は、他の薬に切り替えたりします。

現在では、アミティーザ・グーフィス・モビコール、を使うことが多いです。

 

それぞれの特性に合った薬を探していきましょう。

薬を使っても便秘が治らない場合は、大腸の怖い病気が隠れているかもしれません。

 

便秘の治療薬

便秘の治療薬は、たくさんの種類があります。

みなさん、自分に合う薬を見つけていきましょう。

  1. 酸化マグネシウム
  2. センノシド・プルゼニド
  3. ピコスルファート液
  4. グーフィス
  5. アミティーザ
  6. モビコール
  7. リンゼス
  8. 漢方薬:麻子仁丸(ましにんがん)

便秘の薬は、常用することが多いので、料金が安い便秘薬が良いです。

その中でも1番安くて使いやすいのが、『マグネシウム製剤』『酸化マグネシウム』『マグミット』です。

 

マグネシウムを使っても便秘が改善されない場合は、『センノシド』『プルゼニド』を飲みます。

センノシドやプルゼニドは、効果が出るまでに時間がかかり、飲んでから8時間経過した後に便が出るため、寝る前に飲みます

安くて使いやすい薬ですが、『センノシド・プルゼニドはクセになること』が、唯一のデメリットです。

また、妊婦の人がセンノシド・プルゼニドを大量に飲むと、子宮の収縮が誘発され、流産・早産の原因となり得ます。

 

ピコスルファート液は、センノシド・プルゼニドと似ていますが、習慣性がなく、依存しません。

つまり、『飲むのをやめると便が出なくなる』ということは起こりません。

ピコスルファート液は、妊婦や小児でも使える点はメリットです。

 

参考│
・結束, オピオイド誘発性便秘の疫学・診断・治療, 日本運動器疼痛学会誌 14(2): 72-83, 2022

 

グーフィス・アミティーザは、新しいタイプの便秘薬です。

クセになりにくい便秘薬です。

アミティーザは、特にパーキンソン病の人には良いとされています。

また、妊婦の人はアミティーザは飲めません

 

モビコールは、2歳以上であれば子どもでも安全に使える便秘薬です。

米国では小児の便秘の第一選択薬はモビコールです。

モビコールは、毎日使っても依存性がなく、いい薬です。

唯一のデメリットは、『錠剤がないこと』です。

モビコールの粉を水に溶かして飲みます。

 

 

1番強い便秘薬は?│センノシド・プルゼニド

センノシド・プルゼニド が最も効果が強い

ただし、効果には個人差があります

センノシド・プルゼニドが最も強い便秘薬です。

安いので、コスパも良いです。

飲んでから、8時間経ってから便が出ます

ですので、『飲んですぐ効く便秘薬』ではありません

長期間使うと癖(クセ)になりやすいです。

センノシド・プルゼニドの効果には、個人差があるため、1番強いと言えども、便秘のタイプによっては他の薬が有効な場合もあります。

 

 

便秘薬のデメリット│クセになること

便秘薬は、長期間にわたって飲んでいると癖になる薬もあります。

  • センノシド・センナ
  • プルゼニド
  • アローゼン
  • セチロ
  • ヨーデル

これらの薬は『腸を動かすタイプの下剤』ですが、長期間使用すると、大腸の内側が黒く変色(=大腸メラノーシス)して、腸を動かす神経が傷むことが知られています。

便秘薬を休薬することで、腸の内側の黒色は元に戻りますが、一度傷んだ『腸を動かす神経』は元には戻りません

腸を動かす神経がどんどん壊れていくため、薬の効きが悪くなり、さらに便秘薬が必要になる、というサイクルを『クセになる』と解釈しています。

① 腸を動かすタイプの便秘薬を長期に使用

② 腸を動かす神経が壊れる

③ 腸が動かなくなる

④ より多い量の便秘薬が必要になる

一度、④の状態になると、なかなか元には戻りません。

センノシドとピコスルファート液の違い│医療者向け

センノシドは、アントラキノン系の薬物で、腸管メラノーシスを起こり得ます。また依存性・習慣性があります。

ピコスルファート液は、ジフェニドール系の薬物で、腸管メラノーシスは原則起こりません。また依存性・習慣性はありません。

 

 

 

便秘薬がクセにならないために│グーフィス・アミティーザ・モビコールに変更

センノシド・プルゼニドは、グーフィス・アミティーザ・モビコールに変更する

腸を動かすタイプの薬(センノシドなど)は、長期に飲むと癖になりやすいです。

それを防ぐためにも、新しいタイプの便秘薬(グーフィス・アミティーザ・モビコール)に変更することも選択肢のひとつです。

 

便秘の漢方薬

  1. 麻子仁丸
  2. 大建中湯
  3. 大黄甘草湯

便秘の漢方を飲むと、大黄(だいおう)の成分のおかげで、便が出ます。

大黄には、センノシドが多く含まれています

麻子仁丸と大黄甘草湯には、大黄がそれぞれ4グラムずつ入っています。

 

麻子仁丸(ましにんがん)は、便秘にとても良く効く薬です。

漢方薬は、甘草(かんぞう)という成分が入っていることが多く、しばしば甘草による副作用(低カリウム血症)が出ることあります。

麻子仁丸は、甘草の成分が入っていないため、副作用が出にくく、便秘の人にとってはとても使いやすい漢方薬です。

 

大建中湯(だいけん・ちゅうとう)は、『大きな手術後に動かなくなった腸』によく効きます。

全身麻酔の大きな手術を受けると、胃腸の手術ではなくても、術後数日間は、腸が動きにくくなります。

例えば、腰のヘルニアの手術や、関節の手術、乳がんの手術、脳の手術、などをしても、腸の動きが悪くなります。

その場合は、大建中湯が有効です。

普通の漢方では、1日 7.5g を飲むことが多いですが、大建中湯は1日 15g 飲むとよく効きます。

 

妊婦でも使える便秘薬リスト

  • マグミット
  • ピコスルファート
  • グリセリン浣腸
  • モビコール
  • グーフィス
  • リンゼス

アミティーザは、妊婦には禁忌(きんき)と記載あり、妊婦には使えません。

 

便秘の検査│レントゲン・CT・血液検査・検便・大腸カメラ

  1. レントゲン
  2. CT
  3. 血液検査
  4. 検便
  5. 大腸カメラ

便秘の検査には、上記4つがあります。

 

お腹のレントゲン│便の位置を確認する検査

お腹のレントゲン検査は、便がどこにあるかを調べる検査です。

レントゲン撮影で、肛門に近いところまで便が降りてきていることがわかれば、浣腸(かんちょう)すると便が出ます。

しかし、レントゲンで便が降りてきてなければ、浣腸を入れても便まで届かないですし、指を入れて便をかき出す『摘便(てきべん)』もできません。

簡単にできる検査ですので、慢性的な便秘があれば、レントゲン撮影はまずはじめに行うべき検査です。

便がどこにあるかを見ることが目的になる検査ですが、大きな異常(腸の閉塞・腸のねじれ)が見つかることもあります。

 

 

便秘の原因

便秘の原因で、最も多いものは『加齢』です。

高齢になると、腸が自然と動かなくなってきます

このときは、腸を動かすタイプの便秘薬が有効です。

  1. 加齢で腸が動かなくなる
  2. 薬の副作用高血圧の薬・メンタルの薬)
  3. 腸の病気(大腸がん・クローン病)
  4. 脳の病気(パーキンソン・認知症・脳梗塞)
  5. せぼねの病気
  6. 糖尿病・甲状腺の病気
  7. その他

薬の副作用でも、便秘を引き起こします。

特に注意するべきは、高血圧症の薬(アムロジピンなど)・メンタルの薬、です。

これらはいずれも、必要があって飲んでいる薬であり、継続して飲む必要がある薬です。

便秘がそれ程ひどくなく、代わりになる治療もないようであれば、メリットとデメリットを考慮して、高血圧の薬・メンタルの薬は飲み続けることが望ましいです。