猫ひっかき病とは
『猫ひっかき病』は、猫に噛まれたり、引っかかれた傷から感染する病気です。
主に、傷ついた部分や、その近くのリンパ節が腫れます。
ひどいと高熱が出ることもあります。
これは、『バルトネラ』というバイ菌に感染してしまうことが原因で起こります。
『猫に引っかかれたり噛まれた』という病歴と症状で診断できます。
しかし、噛まれてから発症するまでに時間がかかることもあるため、噛まれた記憶を本人が忘れてしまうと、手や足が腫れた原因が『猫からの傷』とわかりにくくなる場合もあります。
その時は血液検査で診断します。
治療は抗生物質の治療を行えば速やかに改善します。
ちなみに犬に噛まれても、『猫ひっかき病』になることがあります。
症状
- 傷が膿む
- リンパ節の腫れ
- 高熱
猫ひっかき病の症状は、傷が膿んだり、リンパ節が腫れたり、熱が出たりします。
傷が深いと膿んでいることがわかりにくい場合があります。
リンパ節の腫れで最も多いのは『わきの下のリンパ節』です。
原因となる菌
猫ひっかき病の原因菌は『バルトネラ属』のバイ菌です。
バルトネラ属の菌は20種類ありますが、猫ひっかき病の原因となる菌は主に7種類で、特に『Bartonella. henselae(バルトネラ・ヘンセラエ)』という菌です。
猫にひっかかれても、猫に噛まれても、『猫ひっかき病』になりますが、ひっかかれることが多いです。
犬に噛まれても『猫ひっかき病』になり得る
噛んだりひっかいた犬が『バルトネラ菌』を持っていれば、その人は『猫ひっかき病』になることがあります。
病名と違い、犬で怪我をしても『猫ひっかき病』になり得るのです。
犬にひっかかれても『猫ひっかき病』になることあり
猫ひっかき病の原因(63例):
- 猫のひっかき傷 49.2%(31例)
- 猫の接触 41.2%(26例)
- 猫の咬傷 3.2%(2例)
- ネコノミ刺傷 3.2%(2例)
- 犬 3.2%(2例)
吉田, 動物咬傷感染症・ネコひっかき病, 小児内科 52(10): 1486-1488, 2020
検査
猫ひっかき病は、病歴と症状で診断されることが多いです。
しかし、感染歴がわかりにくい場合は、原因菌(B. henselae)に対する抗原検査を行い確定診断します。
これは血液検査で行われます。
治療
抗生物質の点滴や飲み薬の治療を行います
猫ひっかき病の治療は抗生物質です。
軽症の場合は、飲み薬だけで治療できますが、重症の場合は点滴の治療が必要になります。
猫から受けた傷は、犬からの傷と違い、初見では軽症に見えても、意外と傷が深く、感染がわかりにくいこともあります。
ですので、実際は、やや強めの治療から開始することが多いです。
-
猫ひっかき病の治療薬一覧│医療者向け
-
- クラリスロマイシン
- アジスロマイシン
- ミノマイシン
- シプロフロキサシン
- セフェム系の点滴
猫ひっかき病の治療には、○○マイシンという薬が使われます。
重症化した場合は、セフトリアキソンなどの点滴を使ったりします。
猫ひっかき病にアジスロマイシンを使うと治りが早くなる(ホノルルからの報告)
猫ひっかき病の症例に、経口アジスロマイシンで5日間治療すると、治療の最初の1か月以内のリンパ腫脹が軽減された.
Bass JW, Prospective randomized double blind placebo‒controlled evaluation of cat‒scratch diseases. Pediatr Infect Dis J 17:447‒452, 1998