パーキンソン病は、100人に1人は起こるという、発症する確率の高い病気です。
パーキンソンの症状が出たときに、試しに薬を使ってみて、その薬が効けばパーキンソン病と診断します。
診断がわかりにくい場合は、大きな病院に紹介して詳しい検査してから治療をします。
パーキンソン病の治療の流れ│診断&治療のテクニック
パーキンソン病を疑った場合、ドパミン製剤(マドパー)を試しに飲んでみて、薬が効けばパーキンソン病と診断します(診断的治療)。
歩きづらい場合は、MAO-B阻害薬(アジレクト・エクフィナ・エフピー)を追加します。
それでも動きづらくなった場合は、貼り薬(ニュープロパッチ・ハルロピテープ)を使います。
ここまでは、大体同じ治療がなされますが、その後はタイプごとに治療が変わります。
特に一歩目が出にくくなったときは、ドプスを使います。
立ちくらみが強い場合も、ドプスを使います。
ふるえが強い場合は、アーテン・トレリーフを使います。
マドパーの効きが悪いときは、トレリーフ・ノウリアストを使います。
高額でも効果を希望する方には、ノウリアストを提案します。
パーキンソン病の薬には副作用もあります。
興奮・幻覚・性欲up・衝動的な行動・ギャンブル中毒 などの精神症状の副作用が強い場合は、貼り薬(ニュープロパッチ・ハルロピテープ)を中止します。
口が乾くときは、アーテンを中止します。
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パーキンソン病の確定診断│MIBG(医療者向け)
- パーキンソン病は、心臓の検査(MIBG)で、確定診断します。
パーキンソン病みたいな病気(パーキンソン症候群)は、特殊な脳の検査(DAT)で診断します。
MIBG(心臓の検査)で異常があれば、パーキンソン病です。
DAT(脳の検査)で異常があれば、パーキンソン病か、パーキンソン症候群のどちらかまで絞れます。
パーキンソン病か、パーキンソン症候群かは、MIBGで区別します。
パーキンソン病では MIBGが陽性となりますが、パーキンソン症候群では、MIBGが陰性になります。
- パーキンソン病→DAT陽性、MIBG陽性
- パーキンソン症候群→DAT陽性、MIBG陰性
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パーキンソン病とパーキンソン症候群の違い│薬の効きやすさ
- パーキンソン病もパーキンソン症候群も、症状(体や手足が固い、手がふるえる、歩きにくい)はとても似ています。
パーキンソン病は薬が効きます。
しかし、パーキンソン症候群は薬が効きにくく、治りにくいです。
- 薬が効く → パーキンソン病
- 薬が効きにくい → パーキンソン症候群
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パーキンソン病の主な症状 4選
- パーキンソン病の4大症状
- 固縮(手足が固くなる)
- 無動(無表情、動きが乏しくなる)
- 安静時振戦(じっとしていると手と足がふるえる)
- 姿勢反射障害(転びやすくなる)
その他の症状
- 便秘
- 立ちくらみ
- 多汗
- 認知症:もの忘れ
- 嗅覚障害:においがしない
- 夜中にごそごそ動く:レム睡眠行動障害
高齢でパーキンソン病を発症した場合
高齢になってから発症するパーキンソン病は、進行が早く、悪化しやすいです。
また、認知症にもなりやすいです。
高齢発症のパーキンソン病の特徴
- 診断時から運動症状、非運動症状が重篤で、進行も早い
- 運動合併症 、特にウェアリングオフのリスクは低い(ジスキネジアに関しては多様性がある)
- 体軸症状,すくみ・姿勢保持障害・転倒・嚥下障害など生命予後を規定する症状の出現までの期間が短い
- 幻覚,認知症のリスクが高い
高橋, 超高齢社会における高齢Parkinson病診療 ~現状と課題~, 神経治療学 39(2): 51-57, 2022
マドパー│パーキンソン病の特効薬
パーキンソン病には、ドーパミン製剤という特効薬があります。
ドーパミン製剤は、いろいろな種類があり、当院ではマドパーを処方しています。
マドパーと似た薬
- ネオドパストン
- スタレボ
- メネシット・ドパコールなど
細かい違いはありますが、効き目は大体どれも同じです。
病院ごとに使われる薬が違います。
マドパーの効きは、だんだん悪くなる│ウェアリング・オフ
マドパーは、だんだん効かなくなってきます。このことを『ウェアリング・オフ』と言います。
マドパーの効きが悪くなること = ウェアリング・オフ
マドパーを長期に使っていると、マドパーが効きにくくなってきます。
その場合は、『マドパーの効きを良くする薬』が必要になってきます。
マドパーの効きを良くする薬
- アジレクト・エクフィナ・エフピー
- ニュープロパッチ・ハルロピテープ・レキップCR
- トレリーフ・ノウリアスト
「あれ?マドパー飲んでも、最近動きにくくなってきた気がする・・・」と思ったら、
ウェアリング・オフが起こっている可能性が高いので、先生に相談してください。
薬を増える方向にはなりますが、動きやすくなります。
コムタン│朝1錠と昼1錠で十分
コムタンは、マドパー(ドーパミン)を、脳に届きやすくします。
1日合計2錠(朝1錠、昼1錠)で十分効果を発揮します。
コムタンを複数回飲むなら、オンジェンティスを1日1回飲めば良いです。
オンジェンティス│1日1回でOK
オンジェンティスは新しい薬です。
コムタンの改良版です。
入院して行う治療もある│デュオドーパ
パーキンソン病が進行して、薬が飲めなくなるくらい衰弱したら、胃ろうとなります。
胃ろうは、『お腹の皮膚と胃をつなげる』ことを言います。
つまり、お腹から直接、胃に薬を流し込めます。
デュオドーパは、胃ろうから入れる用のパーキンソン病の薬です。
なるべくデュオドーパのみで使うことが望ましいです。
1日のうち16時間しか投与することができないため、夜中に薬が効いていない時間ができてしまうのがデメリットです。