顎関節症(がく・かんせつしょう)は、口を開けた時にアゴがカクっとなる病気です。
症状と画像検査を用いて、口腔外科で診断・治療が行われます。
顎関節症の診断
顎関節症は、口腔外科の専門の先生であれば、症状だけでも大部分は診断できます。
残りの2割程度は、画像診断が必要になります。
- 口を開けた時に音が鳴る
- 口があんまり開かない
- アゴの付け根が痛い
- 噛む時に使う筋肉が痛い
症状のみで顎関節症を正しく診断できる確率は60-80%
顎関節症の症状:
- 顎関節の関節音
- 開口時の上下切歯切端間距離
- 顎関節痛
- 咀噛筋痛
臨床診断による正診率は60~80%であり、不可逆的治療を行うためには、診断精度が低く、画像診断を用いる必要がある.
小林, 顎関節疾患の画像診断の方法と画像診断から得られるもの, 日本臨床矯正歯科医会雑誌 19(1): 34-34, 2007
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顎関節症の病型分類│医師向け内容
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Ⅰ型ー咀嚼筋痛障害ー咀嚼筋に起因する疼痛障害
Ⅱ型ー顎関節痛障害ー関節に起因する疼痛障害
Ⅲ型ー顎関節円板障害ー関節円板の位置・動態異常による障害
Ⅳ型ー変形性顎関節症ー退行性関節障害
Ⅰ型とⅡ型は、症状で診断します。
Ⅲ型は、MRIで診断します。
Ⅳ型は、CTで診断します。
顎関節症の画像検査はCTとMRIが主流
- MRIで『アゴのクッションのゆがみ(関節円盤)』を見る
- CTで『下アゴの構造(下顎突起)』を確認する
顎関節症の画像検査はCTとMRIが主流です。
MRIでは顎関節にある『関節円板(かんせつ・えんばん)』という構造を見ます。
MRIで関節円盤がゆがんでいる場合は、顎関節症と診断します。
レントゲン│パノラマX線検査
レントゲン検査は、顎関節症を疑った時にまず行われる検査です。
CT
CTでは、『下顎骨(かがくこつ)』というアゴ側の骨の付け根(下顎突起)の構造を確認します。
変形がある場合は、口を開けた時に、「パコ」っと音が鳴って、アゴがずれる顎関節症状が出ることがあります。
現在は、歯医者さんでも小型のCT(コーンビームCT)が置いてある施設も増えてきました。
歯医者さんのコーンビームCTは、顎関節症、歯の根っこの治療(根管治療)、歯列矯正、歯周病治療、インプラントの植え込み計画、などで使われています。
- 顎関節症
- 根管治療(歯の根っこの治療)
- 歯列矯正
- 歯周病治療
- インプラントの植え込み計画
また、MRIがない施設などでは、造影剤を用いた『顎関節腔二重造影CT』が行われることもありましたが、現在ではほとんど行われません。
MRI
MRIでは、下顎突起が接触する『関節円盤(かんせつ・えんばん)』をよく確認できます。
特殊な撮影になりますので、総合病院での検査となり、当院では現在お受けしていません。
検査を実施するようになりましたら、WEBでご案内していきます。