新型コロナウィルス感染症に対する『コロナワクチン』は、『打った部分の皮膚に赤みが出る』ことがあります。
コロナワクチンの副作用(副反応)の最も多いものが、『痛み・発熱・だるさ』であり、最も怖い副反応(副作用)が、『アナフィラキシー』です。
2021年3月に、コロナワクチンの皮膚反応の中でも、『後から赤くなる現象』のデータがまとめられました。
コロナワクチンを打ってすぐは、8割以上の人が、赤くなります。
そして、打って8日目くらいに、0.8% の人が、赤くなります。
この『後から赤くなる現象』は、約6日間(遅くとも11日間程度)で、自然に消えていきます。
この『後から赤くなる現象』を知っていれば、『赤みを感染症と見間違えて、不必要な抗生物質を使う』ということが減ります。
結論:コロナワクチン後に皮膚が赤くなると、バイ菌の皮膚感染と間違えやすい│モデルナ
コロナワクチンを打つと、『8日後にワクチンを打った部分が赤くなる』という反応が出ることがあります。
mRNAのコロナワクチン(モデルナ社)でのデータが報告されました。
コロナワクチン後の遅発性の皮膚反応まとめ
Blumenthal KG. Delayed Large Local Reactions to mRNA-1273 Vaccine against SARS-CoV-2. N Engl J Med. 2021 Mar 3
『コロナワクチン後の赤み』は、大きいと10センチ程の大きさになり、『皮膚の感染症』と似ているため、場合によっては抗生物質を使うこともあります。
しかし、実際には、感染症ではなく、『ワクチンの副反応』であるため、抗生物質を使わなくても、自然と治っていきます。
コロナワクチン接種後、すぐに8割の人が赤くなる
コロナワクチンを接種すると、すぐに、8割の人が、打った箇所が赤くなります。
コロナワクチン接種後すぐに、84.2%の人が赤くなる│モデルナ社
コロナワクチンの初回接種後、すぐに、84.2%に皮膚の発赤が出現した.
Baden LR. Efficacy and safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 vaccine. NEJM 2021;384: 403-16
コロナワクチン接種から8日目にも、赤くなることがあるが、自然と治まる
コロナワクチンを接種すると、8日目頃にも打った箇所が赤くなることがあります。
ワクチン接種からしばらく経ってから出る反応のことを、『遅発性(ちはつせい)の反応』と言います。
『大きな赤み』になることもしばしばあり、直径10センチ程度の赤みになることも珍しくはありません。
これらの『ワクチン後の赤み』は、6日程度(遅くとも11日間)で治まってくることが知られています。
- 冷却
- アレルギー薬
- ステロイドの塗り薬
- ステロイドの飲み薬
『ワクチン後の赤み』に対する治療は、冷やしたり、アレルギー薬を使ったり、ステロイド薬を使ったりします。
感染症と区別がつきにくい場合は、抗生剤を使用した例もありました。
コロナワクチンの皮膚反応は、8日目に出て、6日間で消える│モデルナ社
コロナワクチンの局所反応(モデルナ社):
- 最初の投与後4日目から11日目に皮膚の赤みが発症(中央値:8日目)
- 発症後、2日間から11日間で、赤みは消失した(中央値:6日目)
Blumenthal KG. Delayed Large Local Reactions to mRNA-1273 Vaccine against SARS-CoV-2. N Engl J Med. 2021 Mar 3
コロナワクチン後の皮膚の赤みに対して、実際に行われた対処法
ワクチン接種後の皮膚発赤に行われた治療:
- 冷却
- 抗ヒスタミン薬
- ステロイド(外用薬・経口薬)
- 抗生物質
Blumenthal KG. Delayed Large Local Reactions to mRNA-1273 Vaccine against SARS-CoV-2. N Engl J Med. 2021 Mar 3
【重要】1回目のコロナワクチン接種後に『皮膚の赤み』が遅れて出ても、2回目を打つ
コロナワクチンの1回目の接種の後に、打ったところに皮膚の赤みが出ても、2回目を打ちます。
ワクチン接種部位の皮膚が赤くなることは、局所で軽いものあれば、よくあることであり、その皮膚反応がアナフィラキシーのような全身性のものでなければ、『2回目のワクチン接種を打ってはいけない』という理由とはなりません。
米国マサチューセッツ州のコロナワクチンの報告でも、『1回目に皮膚の赤みが出た12人』のうち、全員が2回目のコロナワクチンを接種しており、大きな副作用はありませんでした。
ただし、これらの12人のうち、3人が、『打った部分の皮膚の赤み』がまた出ましたが、1回目より軽く、すぐ治まったとのことです。
1回目のコロナワクチンを打ったところが赤くなっても、2回目を打って良い
Mild local reactions and fever after vaccinations are common and do not contraindicate future doses.
(ワクチン接種後の軽度の局所反応と発熱は、よくあることであり、次回のワクチン投与の禁忌とはなりません)
Kelso JM. Adverse reactions to vaccines practice parameter 2012 update. J Allergy Clin Immunol 2012; 130: 25-43
2回目の接種後の皮膚反応の方が、1回目よりも軽い
局所注射部位反応も遅延型過敏反応も、2回目のワクチン接種の禁忌ではないため、12人の患者全員が2回目のmRNA-1273ワクチン接種を受けた.
12人中のうち3人が、皮膚反応がもう1回起きた.
2回目皮膚反応は、接種して1-3日後(中央値:2日)で出現し、1回目よりも軽度であった.
Blumenthal KG. Delayed Large Local Reactions to mRNA-1273 Vaccine against SARS-CoV-2. N Engl J Med. 2021 Mar 3
まとめ:コロナワクチンを打って『皮膚の赤み』が出ても、自然と消える
新型コロナウィルス感染症に対するコロナワクチンは、打つと赤みが出ることもありますが、自然と良くなってきます。
皮膚の感染症と似ているため、抗生物質を飲むことになるかもしれません。
しかし、赤みが出るからと言っても、『ワクチンを打つメリット』にはかないません。
やはり、ワクチンを早く適切に接種し、全体として、集団免疫を獲得していくことが大切です。
1日でも早くコロナの感染が治まることを祈っています。