双極性障害とは?│躁・うつを繰り返す病気
双極性障害(そうきょくせい・しょうがい)は、『躁(そう)状態と、うつ状態を繰り返す病気』です。
この時の躁状態は、軽いものから重度のものまであります。
調子が良い時は、特に症状がありません。
一生のうちに約1%の人が、双極性障害になると言われています。
うつ病は、一生のうちに 約7%の人がかかるため、うつ病よりは双極性障害の方が少ないです。
躁病とうつ病が入り混じった『混合状態(こんごう・じょうたい)』では、自殺率が上がるため、注意深い観察が必要です。
双極性生涯になる確率は1%
生涯有病率は1%弱とされている.
加藤: 双極性生涯, 日本医師会雑誌 151(2), S192-194
うつ病は1割弱の人がかかる可能性あり
生涯有病率(一生のうちに一度は病気にかかる人の割合):
- うつ病 7.5%
- いずれかの気分障害 9.0%
- いずれかの精神障害 18.6%
双極性障害のタイプ│1型・2型
- 1型 → 躁状態あり
- 2型 → 軽い躁状態と、うつ状態のいずれもあり
気が大きくなる『躁病』が1度でもあれば、双極性障害1型と診断できます。
最近では、双極性障害2型の過剰診断が問題になっています。
診断基準の『軽い躁状態』の判断が医師ごとに違うためです。
うつ状態の部分にSSRIが使うことで、悪化のリスクもあります。
躁病は双極性障害と診断する│DSM-5
躁病(そうびょう)のエピソードが1回でもあれば、その時点で抑うつエピソードを認めなくても双極性障害と診断する.
寺尾: 精神疾患診療, 日本医師会雑誌 151(2), S63-64
双極性障害の治療
躁状態があるタイプでは、本人の意思に基づかない治療に移行することを念頭におく必要があるため、精神科で治療を受けることが望ましいです。
メンタルクリニックへ早めに受診しましょう。
双極性障害の治療の目標
- 再発予防
- 社会生活を送れるようにする
- 躁状態・うつ状態のコントロール
- 自殺予防(うつ状態)
- うつ状態の苦痛を取り除く
双極性障害の薬物治療
気分安定薬が基本となります。
第一選択薬は『リチウム』です。
双極性障害の薬物治療│気分安定薬・非定型抗精神病薬
双極性障害の一般治療:
第1選択薬
- リチウム
第2選択薬
- ラモトリギン(ラミクタール)
- バルプロ酸(デパケン)
- カルバマゼピン(テグレトール)
- クエチアピン(セロクエル)
- リスペリドン(リスパダール)
- オランザピン(ジプレキサ)
- アリピプラゾール(エビリファイ)
- ルラシドン(ラツーダ)
- パリペリドン(インヴェガ)
- アセナピン(シクレスト)
躁病エピソードの時:
- リチウム
- バルプロ酸
抑うつエピソードの時:
- クエチアピン(セロクエル)
- ルラシドン(ラツーダ)
- オランザピン(ジプレキサ)
- リチウム
- ラモトリギン(ラミクタール)
加藤: 双極性生涯, 日本医師会雑誌 151(2), S192-194
リチウムが古くからある良い薬ですが、デメリットもあります。
副作用で口が乾いたり、濃度測定のための定期的な血液検査が必要となることがデメリットです。
妊娠中はリチウムは禁忌であり、妊婦はリチウムを飲むことができません。
- のどが乾く
- ふるえが出ることがある
- 吐き気
- 血液検査で濃度測定をする必要がある
- 妊娠中は飲めない