膵がん(すいがん)ドック
膵がんを早期発見できるように膵がんの検出率の高いMRI(MRCP)を行います。
現在、準備中です。
膵がんドックのシステムが整備でき次第、WEB公開します。
膵がんは、見つかったときには手術できないことが多い
膵がん(すいぞうがん)は、『見つかりにくくて、死亡率の高い病気』です。
これは、膵ぞうの位置が、『いろいろな臓器のうしろに隠れて、深いところにある』からです。
2017年には膵がんによる死亡者数は、3.4万人を超え、死亡数と発症数はほぼ同数であり、膵がんの予後は極めて悪いものです。
膵がんで命を落とさないようにするためには、早期発見以外はありません。
家族に膵がんの方がいた場合は、膵がんを発症する確率が高いです。
膵がんドックをおすすめするのは、そのような『膵臓がんの家族歴のある人』です。
早期の膵がんは、今までどうやって見つかっていた?
早期の膵がんが見つかることは容易ではありません。
2017年の研究では、診断された早期の膵がんが、どのように見つかってきたかを検討すると、『異常を指摘されて精密検査で見つかった』が23.9%、『他の検査のついでに偶然見つかった』が53%、であり、膵がんを疑って精密検査で早期診断がされることの方が少ないことがわかります。
また、これらのうち、『無症状で見つかったもの』が76%、であったため、『早期膵がんは症状がない』ことも特徴と言えます。
参考│
・菅野, 膵癌早期診断の現状, 膵臓, 2017; 32: 16-22
膵がんドックを受けた方が良い人
- 身内(特に、親・兄弟・子供)に、すい臓がんになった方がいた人
- 人間ドックで、すい臓がよく見えなかった人
- 喫煙者
- お酒をよく飲む人
- 糖尿病
- 膵ぞうに水たまりがあると言われた人
膵がんを発症した身内が1人でもいると、膵がんのなりやすいさが、約2倍となります。
膵がんを発症した身内が2人以上になると、『家族性膵がん』が疑われ、膵がんのなりやすさが、6~7倍となります。
また、膵ぞうに何らかの病気がある場合も、膵がん発症のリスクは高いと言われています。
特に、慢性膵炎と言って、『P型アミラーゼ』の値が高い方は、膵がんを発症する可能性が極めて高く、要注意です。
また、ありふれた病気である糖尿病の人も、膵がんになりやすいことが知られています。
膵がんのリスク解析(健常人と比べた膵がんのなりやすさ)
・膵がん家族歴(親・兄弟・子供のうち1人): 1.7-2.4倍
・家族性膵がん(親・兄弟・子供のうち2人以上): 6.79倍
・慢性膵炎: 13.3倍
・膵のう胞: 約3倍
・IPMN: 1.1 – 2.5倍
・糖尿病: 1.94倍
参考│
・膵癌診療ガイドライン2019
膵がんのリスクが高い人は、半年ごとに画像検査が推奨
膵がんのリスクが高い人は、半年から1年ごとに画像検査を行った方が良いと、2020年の日本膵臓学会で推奨されています。
検査方法は、MRI(MRCP)、造影剤を使ったCT、腹部超音波、食道エコー(超音波付き胃カメラ)、が勧められています。
無症状で、超音波付き胃カメラを毎回行うことは、抵抗があると思います。
かと言って、身体の負担が少ないお腹の超音波検査(エコー)では、見づらい箇所がある場合もあります。
CTは造影する必要があるため、造影剤アレルギーのリスクがあります。
これらの理由で悩ましい場合、MRIによる膵がんドックは選択肢となります。
│参考│
・北野, 家族性膵癌高危険度群のサーベイランス法, 膵臓, 2020; 35: 332-330
膵がんの腫瘍マーカー検査
- CA19-9
- SPan-1
- DUPAN-2
- CEA
膵がんの腫瘍マーカーの陽性率は下記の通りです。
・CA19-9: 70-80%
・SPan-1: 70-80%
・DUPAN-2: 50-60%
・CEA: 30-60%
膵がんでは、腫瘍マーカーの陽性率は、他のがんと比べると高くはありません。
早期の膵がん(2センチ以下の膵がん)では、さらに陽性率が下がります。
しかし、画像で疑わしい場合に、診断の助けになるため、画像診断と併せて腫瘍マーカー検査を併せて実施します。
参考│
・膵癌診療ガイドライン2019
膵がん早期診断プロジェクト│広島県尾道市
2007年から広島県尾道市の医師会では、『膵がん早期診断プロジェクト』を展開し、5年生存率が向上したと発表されています。
①超音波検査
↓↓
②よく見えない
・お腹の脂肪で膵臓がよく見えない
・お腹の手術歴があって膵臓がよく見えない
・人間ドックの検診結果に『膵臓は不明瞭』と記載がある
↓↓
③精密検査を積極的に実施
・MRI(MRCP)
・CT
・超音波付き胃カメラ(EUS)
全国の医師たちが注目した膵がん早期発見プロジェクトの大切なことは、『人間ドックの超音波検査で膵ぞうがよく見えない場合も、精密検査の対象としている』ところです。
検診の超音波検査では、『膵臓部分はよく見えない』という旨の結果が多いです。
超音波で膵ぞうがよく見えないことは、積極的に精密検査の理由となります。
当院ではMRIと腫瘍マーカー検査による膵がんドックを、選択肢として提案しています。
普段の検診で数年間『異常なし』が継続していても、残るリスクを精密に検索するために、一度受診をおすすめします。
健康に対する不安を取り除くことで、みなさんの一度きりの人生が、生き生きとしたものになることを願っています。