EBウィルス感染症の診断・治療│医療者向け内容

 

EBウィルス感染症

EBウィルスは、ほとんどの大人は既に感染しているウィルスです。

2-3歳の80%がEBVに気づかないうちに感染しているとも言われています。

このウィルスに感染していても、普段は問題ありませんが、疲れ・ストレス・不眠・体調不良や、ステロイド使用中の時に、突然、EBウィルス感染の症状が起こります。

子供・10歳代の場合、初感染の伝染性単核球症が多いです。

大人の場合や免疫が落ちている人の場合、EBVが再活性化した慢性活動性EBウイルス感染症を疑って検査をします。

 

参考│
・大里, EBウィルス感染の問題点, 臨床とウイルス 10(3): 206-209, 1982

 

 

EBウィルスの検査

EBV-VCA IgM抗体を計測します

クリニックの診療では、高熱が数週間継続している(不明熱) とき、検査を行います。

初感染のことが多く、保険診療の兼ね合いから、EBV-VCA IgM (EIA法)のみを計測しています。

判定は、EIA法では1.0倍以上、FA法で10倍以上をEBウィルスの初感染としています。

EIA法の方が、FA法よりも精密と言われています。

初感染の伝染性単核球症ではEIA法が使われ、慢性活動性EBウイルス感染症を疑うとき(再活性化の時)は、FA法でペア血清を比較することが多いです。

診断がつきにくい場合は、複数回の血液検査を行います。

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EBウィルス感染症の種類

EBV関連の病気一覧(医師向け内容)

初感染:

  • 伝染性単核症
  • EBV関連血球貪食症候群(VAHS)

 

再活性化:

  • 慢性活動性EBウイルス感染症
  • 舌の毛状白斑症(エイズに合併)

 

腫瘍:

  • バーキットリンパ腫
  • ホジキン病
  • 上咽頭がん
  • 胃がん・唾液腺がん・胸腺がん
  • 平滑筋肉腫

北河, EBウィルス感染症, 今日の移植 17(6): 739-746, 2004 より一部改変

 

伝染性単核球症

  • EBVの初感染
  • 10-20歳代に多い
  • 症状は、発熱・咽頭痛・頸部リンパ節腫脹・肝脾腫(脾破裂)
  • 特に、高熱・ノドの強い痛み・ だるさ、が目立つ
  • 扁桃炎を高率に合併
  • セフェムで薬疹が出るため、扁桃が腫れていてもEBVならセフェム(セフジトレンなど)は使えない
  • ウィルスに効く薬なし、対症療法のみ
  • 重症時は入院してステロイド治療することあり
  • 2-4週間で自然に良くなることが多い、長いと2ヶ月かかる
  • 脾破裂・ギランバレーに注意
  • 脾破裂予防のため、発症して4週間は運動禁止
  • EBV-VCA IgM抗体 で診断
  • EBV-VCA IgG抗体のペア血清(初診時と2週間後)で、2回目IgGの上昇でも診断できる
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慢性活動性EBウイルス感染症

  • 症状は、発熱・リンパ節腫脹・肝脾腫
  • EBVゲノム量 高値
  • 治療はステロイド・免疫抑制剤(シクロスポリン・エトポシド)
  • 血球貪食症候群・多臓器不全を高率に起こす
  • 予後不良