幻覚は、年齢を重ねてくるとともに、何かの病気の初期症状として出てきます。
幻覚のうち、最も多いのは、幻視(げんし)であり、『虫が見える』や『家の中に知らない人がいる』と言ったりします。
幻視の原因は、その多くが、『レビー小体型認知症』です。
この病気を発症してまだ初期の場合は、割としっかりしていて、認知症にはなっていないことも多いです。
レビー小体型認知症は、認知症状はない段階でも、幻視症状が出始めた時点から早めに病院に受診することで、病気の進行自体は防げなくても、症状自体を和らげることは可能です。
また、幻聴が聞こえる、などの訴えがあった場合は、『統合失調症』という特殊な精神病の可能性があるため、速やかに精神科や心療内科に受診するようにしましょう。
幻覚とは
幻覚で1番多い症状は、幻視(げんし)です。
幻視が見えたら、『レビー小体型認知症』を疑います。
幻聴が聞こえたり、『体の中に虫が這っている』という『体感幻覚』が見られれば、『統合失調症』かもしれません。
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幻視(げんし)
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高齢者の幻視は多い
幻視とは、『本来ないものが見える』という状態です。
認知症の30%で幻視が見られますが、レビー小体型認知症では80%に幻視の症状が起こります。
- 虫が見える
- カーテンの向こうに小動物
- 家の中に人がいる
幻視の内容としては、虫、小動物、人、が多いです。
幻視を疑うキーワードとしては、『虫がいっぱいいる』、『誰もいないのに、誰かいる』、『カーテンの向こうに隠れている』などです。
高齢者であれば、『レビー小体型認知症』の初期症状のことが多いです。
レビー小体型認知症は幻視を伴う
レビー小体型認知症の80%に、幻視が見られる.
松永, 日本臨床; 76巻 増刊号7, 2018, 30-35
幻視がひどいときはノイズ・パレイドリアテスト
幻視がひどいと、ある物が別のものに見える『パレイドリア』という症状が出ます。
パレイドリアがあると、動物や木の陰が人間に見えたり、ギザギザした模様(ノイズ画像)が、人の顔に見えてしまったりします。
これらの場合、ノイズ・パレイドリアテストを行う場合もあります。
これらは、幻視の少ないアルツハイマーと、幻視の多いレビー小体型認知症を区別するために有効なテストです。
アルツハイマーとレビーの区別する方法│パレイドリアテスト
アルツハイマー型認知症と、レビー小体型認知症の鑑別に、パレイドリアテストは有用であった.
Yokoi K: Hallucinators find meaning in noises: Pareidolic illusions in dementia with Lewy bodies. Neuropsychologia 2014; 56: 245-254
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幻聴(げんちょう)
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幻聴が聞こえれば、『統合失調症』かもしれません
幻聴が聞こえると言われたら、その人は『統合失調症』かもしれません。
幻聴はしばしば悪口を言ったりしてきます。
また、幻聴と会話をしたりしますので、他の人が見ると、『独り言をしゃべっている』ように見えます。
これを『独語(どくご)』と言います。
さらに、幻聴との会話で笑ったりすることもあり、他の人が見ると、『独りで笑っている』ように見えます。
これを『空笑(くうしょう)』と言います。
幻聴と会話している場合は、しっかりとした病気がなにかありますので、精神科・心療内科の受診を速やかにしましょう。
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体感幻覚(たいかん・げんかく)
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体感幻覚があれば、統合失調症かもしれません
体感幻覚とは、『体に異常な不快感や、グロテスクな感覚を感じる幻覚』です。
体感感覚は、当事者にとってはとても怖い感覚です。
ですので、いきなり大声で奇声を発したり、体の不快感を取り除こうとして自分の体を切ろうとしたりします。
このような症状が見られたら、『統合失調症(とうごう・しっちょうしょう)』を疑って病院へ受診しましょう。
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寝る時の幻覚
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寝つく時の幻覚は、『ナルコレプシー』を疑う寝る時に、変な感じや幻覚を感じる場合は、『ナルコレプシー』のことがあります。
ナルコレプシーは、日中からひどい眠気に悩まされる病気で、しばしば『怠け者』扱いされがちです。
寝付く時に幻覚があり、日中も眠いということであれば、一度、睡眠を専門にした医療機関やクリニックへ受診してみましょう。
幻覚の原因
幻覚の原因のひとつが、ドパミン(ドーパミン)の異常放出です。
幻視の原因としては、『レビー小体型認知症』が有名です。
『レビー小体型認知症』は、『パーキンソン病』とも関連する病気で症状はお互い似ています。
パーキンソン病などは、体の中のドパミン量を増やす治療を行うため、治療中に幻覚が出やすいです。
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レビー小体型認知症
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幻視が見えたら、『レビー小体型認知症』の初期症状を疑う
レビー小体型認知症では、幻覚の他に、妄想・不安・睡眠障害、が出ることも多いです。
幻覚は、『幻視(げんし)』が多いです。
レビー小体型認知症の幻視の治療
- 認知症の薬(コリンエステラーゼ阻害薬)
- 漢方(抑肝散)
- クエチアピン(セロクエル)
- オランザピン(ジプレキサ)
- アリピプラゾール(エビリファイ)
- クロナゼパム(リボトリール)
- トラドゾン(デジレル・レスリン)
レビー小体型認知症による幻視の治療は、『脳内のアセチルコリンを増やす認知症の薬』を使います。
重度の幻覚には、『やや強めの薬(クエチアピン・オランザピン・アリピプラゾール)』を少量から使っていきます。
これらの中でも最も使いやすいとされるのが、クエチアピンであり、パーキンソン症状が悪化しにくいところが使いやすいです。
夜にごそごそ動く時は、『レム睡眠行動障害(れむすいみん・こうどう・しょうがい)』を合併している可能性があり、クロナゼパムを使います。
ぐっすり寝られない場合は、転びにくいトラドゾンを使います。
レビー小体型認知症の興奮や徘徊(はいかい)は治療がある
少量のクエチアピン(12.5-50mg)が安全かつ有効なことが多い.
橋本, 日本医事新報 No. 4961, 2019, 5, 25, 24-29
レビー小体型認知症の幻覚治療
レビー小体型認知症の幻覚に対して、ドネペジルとリバスチグミンは、有効である.
Stinton C, Pharmacological Management of Lewy Body Dementia: A Systematic Review and Meta-Analysis. Am J Psychiatry. 2015 Aug 1;172(8):731-742
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パーキンソン病
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パーキンソン病治療中の幻覚の原因は、病気の悪化か、薬の副作用
パーキンソン病で幻覚が見える場合は、パーキンソン病自体で起こる場合と、パーキンソン病の治療薬の副作用で起こる場合があります。
パーキンソン病治療中の幻覚は、薬の副作用が原因のことが多いパーキンソン病で幻覚が出る場合は、『パーキンソン病の治療薬の副作用』のことが多いです。
つまり、パーキンソン病の薬が多すぎるということです。
- 抗コリン薬(アーテンなど)
- アマンタジン
- MAO-B阻害薬(エフピー、アジレクト、エクフィナ)
特に抗コリン薬は、体の中のコリンが減ることで、幻視が出やすいとされています。
パーキンソン病は、『動きがゆっくりになる病気』ですが、動きをなめらかにしようと薬を飲むと、時に多すぎて、副作用として幻覚が出る、ということになります。
動きがゆっくりになりすぎないように、ぎりぎりの量に減らすことが大切です。
パーキンソン病の幻視は、進行してからが多いパーキンソン病の病気が悪化して幻視が見えるようになることもあります。この時は、予後も短くなっていると予想されます。パーキンソン病の幻覚の治療
- パーキンソン病の治療薬を減量
- レビー小体型認知症の幻覚治療を試す
パーキンソン病は、レビー小体型認知症と似た病気で、お互い合併しやすい病気と考えられています。
ですので、パーキンソン病の方が幻覚が見えた場合、レビー小体型認知症も合併している可能性を考え、レビー小体型認知症で有効である幻覚治療を追加してみましょう。
基本的には、少量のクエチアピンから開始します。
あまりにも何も効かない場合は、クロザピン(保険適応外)がありますが、クエチアピンと効果は同等というオーストリアの研究結果もあります。
パーキンソン病の幻視は進行期に出る症状
パーキンソン病の幻視は、特に最後の5年間に出やすい.
Kempster PA: Relationships between age and late progression of Parkinson’s disease. Brain, 133: 1755-1762, 2010
クロザピンとクエチアピンが、精神症状に効く
クロザピンとクエチアピンは、パーキンソン病の精神症状に対して、同等に有効である.
Seppi K, Update on treatments for nonmotor symptoms of Parkinson’s disease-an evidence-based medicine review. Mov Disord. 2019 Feb;34(2):180-198
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うつ病
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うつ病でも幻覚が出た場合、本当は別の病気かもしれないうつ病で幻覚が出た場合、本当は『レビー小体型認知症』だったというパターンもあり得ます。
その場合はやはりレビー小体型認知症の幻覚治療を試してみましょう。
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統合失調症
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幻聴が聞こえると言えば、『統合失調症』として、速やかに精神科受診
幻覚は、幻視と幻聴がありますが、この中で、すぐ病院を受診した方が良いのは、『幻聴(げんちょう)』です。
幻聴は、『統合失調症』である可能性が高く、強い治療が必要になります。
- 幻聴
- 体感幻覚
また、幻聴の次に多いのが、体感幻覚です。
体感幻覚で、『虫が体の中に這っている感覚』を感じると、突然、自分の体を傷つけて、体の中の『虫』を取り出そうと暴れます。
このような幻覚が見られた場合は、速やかに病院に受診して診断をつけて治療をしてもらうようにしましょう。
また、精神科や心療内科の予約はなかなか取れませんので、症状が見られたら、すぐ予約をとるようにして、予約日までじっと待ちましょう。
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レム睡眠行動異常症
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夜中に大声を出したり、ごそごそ動く場合は、レム睡眠行動障害かもしれません
レム睡眠行動障害の主な症状は、『夜間の異常行動』です。
薬を飲めばしっかり抑えられますので、病院を受診して診断をつけてもらいましょう。
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てんかん
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てんかんは幻覚を起こすことがあるてんかんは『気を失ってけいれんする』だけではなく、いろいろなパターンがある病気です。中には、立って歩いて、ふつうに近い動作を丸1日しているてんかん患者さんもいます(その間の記憶はありませんが)。
この一見ふつうに見えるてんかん発作の間に、幻覚が見えてることも少なくはありません。
呼びかけて、返答がおかしい場合は、『一見ふつうに見えるけど、実はてんかん発作』のパターンかもしれません。
病院に受診して異常がないかを見てもらいましょう。
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脳梗塞
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脳梗塞でも幻覚は起こる脳梗塞を発病して、最初の2週間程度は、幻覚を見ることがあります。脳梗塞だと、麻痺の程度や社会復帰できるかどうかに注目するので、あまり知られていませんが、幻覚の発生率は意外と高いことが知られています。
脳梗塞でも幻覚が出る
脳梗塞を発症し入院したうちの16.7%で、幻覚を経験した.Morenas-Rodríguez E, Visual hallucinations in patients with acute stroke: a prospective exploratory study, Eur J Neurol. 2017 May;24(5):734-740
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ミネラルのバランス異常による幻覚│高カルシウム血症
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ミネラルバランスの異常で幻覚が出る場合は、高カルシウム血症の可能性あり骨粗鬆症の薬などで、知らない間に高カルシウム血症になってしまっている場合もあります。
- アルファロールカプセル
- エディロールカプセル
定期的に血液検査をして、カルシウムが高すぎないかチェックしましょう。高カルシウム血症の原因
- 副甲状腺機能亢進症
- 多発性骨髄腫
- 骨悪性腫瘍
- 悪性腫瘍の骨転移
- サルコイドーシス
- 腎不全
- ビタミンD中毒
原田. 治療; Vol 101, No 3, 2019. 3, 317-319
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『脳の炎症』や『全身の病気』による幻覚
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原因の病気を治療する必要があります原因となっている病気は、しばしば重大な病気が多く、きちんと治療する必要があります。
- 脳炎・髄膜炎(ずいまくえん)
- 橋本脳症
- 抗NMDA抗体受容体脳炎
- 脳腫瘍
- 甲状腺クリーゼ
- 膠原病(SLE)
- ナルコレプシー
- 遺伝子異常
中には、橋本脳症などは、知らないと治らないけれども、知っていれば治る病気でもあるため、きちんと治療するには、正しい診断が必要です。
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薬物による幻覚
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治療中の病気や薬をチェック
高齢者ならパーキンソン病の治療薬や、頻尿の薬を飲んでいないかチェックしましょう。
頻尿の薬は、一時的に認知症が悪化し、それにより、せん妄(せんもう)や幻覚の症状が出たりします。
- パーキンソン病の薬
- 頻尿の薬
- 合成麻薬(LSD)
- 覚醒剤
若い人で幻覚が見えることは非常に少ないです。
まさかとは思いますが、合成麻薬(LSD)の使用も念の為チェックします。
若い人であれば、合成麻薬(LSD)の使用もチェック子どもの幻覚を起こし得る薬
- ステロイド
- てんかんの薬(ゾニサミド・トピラマート)
- ADHDの薬(メチルフェニデート)
- 抗生物質
- 花粉症の薬・ぜんそくの薬(抗ヒスタミン薬)
- 痛み止め(NSAIDs)
賀古, 小児内科, Vol. 51, No.12, 2019.12, 1900-1903 より改変
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『毒きのこ』の幻覚
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毒キノコは、麻薬の材料になる成分が含まれています毒キノコや、幻覚を引き起こすキノコは、大昔からありました。
日本では、今昔物語集(平安時代)にも、毒キノコについての記載が残っています。
毒キノコで幻覚が見える
毒キノコ、催幻覚性キノコの存在は古くから知られ、踊茸・舞茸・笑い茸などと呼ばれていた.
江口, Functional Food 2019, Vol13, No1, 5-11
年齢ごとの幻覚
幻覚が病気で起こる場合は、基本的には高齢者です。
若い人が『幻覚が見える』や、『幻聴が聞こえる』と言ったら、重大な病気が隠れている可能性が高いです。
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高齢者の幻覚の原因
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高齢者の幻覚の原因は、ほぼ何らかの認知症です
『幻覚はあるけど、認知症っぽくなくて元気』という場合は、パーキンソン病かもしれません。
- レビー小体型認知症
- パーキンソン病
- アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症は、名前は違いますが、ほぼ似たようなくくりの病気です。
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中学生・高校生の幻覚の原因
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薬物(合成麻薬)と、不思議の国のアリス症候群を除外する
合成麻薬の中毒だけは除外をするようにしましょう。
それさえ除外できれば、あとは、『不思議の国のアリス症候群』かもしれません。
幻覚の治療
幻覚が治るかどうかは原因次第です。
病気として幻覚が出た場合は、基本的に治らないことが多いです。
しかし、てんかんや、脳卒中(脳梗塞)での幻覚は治る可能性があるため、診断がとても大切になります。
また、薬の副作用による幻覚も見逃せないため、今までの病気のチェックも必要です。
医療機関に受診する際には、ぜひ『お薬手帳』を持参してチェックしてもらうようにしましょう。
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幻覚は治る?
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幻覚の症状は、治りにくい
幻覚は、薬の副作用が原因でなければ、治らないことが多いです。
その場合は、少しでも苦痛を和らげるような薬を使っていきます。
主に、レビー小体型認知症の時の薬を使っていきます。
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薬を使わない幻覚治療
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睡眠リズムを整えて、ストレスの少ない生活が大切です
『認知症の薬を使わない治療法』と同様の治療になります。
ストレスを避けて、睡眠を十分にとるという、他の病気と共通した生活改善になります。
むしろ、ご家族の方が、『本人が幻覚を訴える状況』にどのように慣れていくかが、課題になります。
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薬の治療
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レビー小体型認知症の初期症状として治療を開始することが多い
高齢者の幻覚では、レビー小体型認知症での幻視に準じた治療がされることが多いです。
- 漢方(抑肝散)
- クエチアピン(セロクエル)
- オランザピン(ジプレキサ)
- アリピプラゾール(エビリファイ)
- アセナピン(シクレスト)
- クロナゼパム(リボトリール)
- トラドゾン(デジレル・レスリン)
幻覚を止める薬を使うと、手がふるえたり、日中から眠ってしまったりします。
クエチアピン(セロクエル)は、そのような副作用が少なく、使いやすい薬です。
ただし、糖尿病の方は使えません。
オランザピン(ジプレキサ)もクエチアピンと同様ですが、日中にやや眠くなりがちです。
そのような場合は、オランザピンよりも眠くなりにくいアセナピン(シクレスト舌下錠)が良いとされます。
また、体があまり元気でなく、幻覚やごそごそ動くせん妄(せんもう)が強い場合は、アリピプラゾール(エビリファイ)が使われたりします。
クロナゼパム(リボトリール)は、ごく少量でも、『夜中のごそごそ』を止めることができます。
ぐっすりとした質の良い睡眠を希望される場合は、トラドゾン(デジレル・レスリン)も安全に使え、便利です。
抑肝散は幻覚に有効
抑肝散は、幻覚、妄想、興奮、攻撃性に有効であった.
Matsunaga S: Yokukansan in the Treatment of Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia J AIzheimers Dis 54: 635-643, 2016
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ひどい幻覚は入院
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幻覚・妄想がひどく、徘徊も伴うようなら入院せざるを得ません
幻覚や妄想がひどくなってくると、体が元気であれば最終的に徘徊するようになります。
そのような事態になれば入院を考慮しないといけません。
入院の目安に、『警察にお世話になったら入院』というものがあります。
さすがに事件に発展する前に、医療機関への入院が望ましいです。
高齢者の不穏興奮を治す薬
- セロクエル
- リスパダール
- オランザピン
- アリピプラゾール
- レキサルティ(=ブレクスピプラゾール)
- 漢方薬(抑肝散、抑肝散陳皮半夏)
高齢者の興奮の治療で、使いやすいのは、漢方薬とセロクエルです。
理由は、比較的安全に使えるからです。
漢方薬は副作用はあまりなく、良い作用のみを期待できます(その分、興奮を抑える効果は弱いです)。
セロクエルは、最大 750mg まで飲めますので、『セロクエル 25mg 錠』 であれば、最大で30錠まで飲めます。
つまり、1錠の含有量が少ないため、少しずつ増量することができます。
リスパダールは効果がやや強く、過鎮静になったり、逆に興奮を誘発することもあります。
オランザピンは興奮の中でも、幻覚の症状が出現しているときは効きやすいです。
アリピプラゾールは、いずれの治療も有効でない場合にこの薬のみ有効なことが多いです。
レキサルティ(=ブレクスピプラゾール)は、新しい薬です。認知症での興奮・攻撃性を抑える効果があります。
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厚労省がおすすめする興奮を抑える治療
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国がおすすめする不穏興奮を抑える治療
幻覚・妄想に対して、リスペリドン、 オランザピン、 アリピプラゾールなどの使用を推奨する。 クエチアピンの使用を検討してもよい。
レビー小体型認知症のBPSD に対して、 クエチアピンとオランザピンの使用を考慮しても良い。
不安に対して、リスペリドン、 オランザピンの使用が推奨され、 クエチアピンの使用を考慮してもよい。
焦燥性興奮 (agitation) には、リスペリドン、アリピプラゾールは有効性が実証されており使用を推奨する。
オランザピンについては使用を検討してもよい。
チアプリドも興奮や攻撃性に対する有効性が報告され、 脳梗塞後遺症に伴う精神興奮徘徊・せん妄に保険適応もあるため考慮してもよい。
暴力や不穏に対して抗精神病薬の使用を考慮してもよい。
睡眠障害に、 リスペリドンの使用を考慮してもよい。
徘徊に対するリスペリドンの使用を考慮してもよいが、 科学的根拠が不十分である。
性的脱抑制に抗精神病薬の使用を考慮するが、科学的根拠は不十分である。
かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)
幻覚のQ&A
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『一瞬虫が見える幻覚』は何の病気ですか?
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目の問題がなければ、レビー小体型認知症のことが多いです目の問題でも、虫が見えることがありますが、これを『飛蚊症(ひぶんしょう)』と言います。飛蚊症の場合は、眼科の先生に、目のチェックをしてもらった方が良いです。目の問題なく、虫が見える場合は、やはりレビー小体型認知症を疑った方が良いです。
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ストレスと幻覚の関係
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ストレスが大きいと、さまざまな症状が出ます
ストレスは万病のもとです。
ストレスで幻覚が見えているとすると相当なストレスです。
しばらくストレスの原因から離れるようにましょう。