インフルエンザワクチン（予防接種）は、ニワトリの卵から作られています。
でも、卵アレルギーがひどい方でなければ、インフルエンザワクチンを打つことは可能です。
『ひどい卵アレルギー』とは、『血圧が下がった』とか『呼吸が苦しくなった』というくらいのアレルギーの事を言います。
結論：軽い卵アレルギーなら、接種可能
軽度の卵アレルギーであれば接種可能です。
『血液検査で卵アレルギーと言われました』という方でも、重症なアレルギー症状が出たことがなければ接種は可能です。
ですから、『卵アレルギーのある方すべてが、卵を使ったワクチンを打てない』ということはありません。
アレルギーが軽度かどうかの目安は、一般には、『全身に症状が出たか』、『呼吸困難がなかったか』、『血圧が下がらなかったか』で判断します。
最終的には、接種する医師の判断になります。
鶏卵アレルギーがあっても全身症状あるいはアナフィラキシーを起こしたことがなければ通常特に問題なく接種可能です
予防接種に関するQ＆A集 2019（一般社団法人 日本ワクチン産業協会）
インフルエンザワクチンで卵白特異的IgE陽性者は軽微な副反応を認めたが、この頻度は一般的な副反応発現率と同等であり、卵白特異的IgE抗体価との関連を認めなかった
J Environ Dermatol Cutan Allergol 3：57-62, 2009
ニワトリの卵から作られたワクチンは３つ
- インフルエンザワクチン
- 狂犬病ワクチン（ラビピュール）
- 黄熱病のワクチン
これら上記３つのワクチンいずれも、前述のとおり、軽度の卵アレルギーであれば接種可能です。
卵アレルギーで予防接種がどうしても心配な方は読んでください
インフルエンザワクチンは、ニワトリの卵の中で増殖したインフルエンザウィルスを原料としています。
有名な研究で、重症の卵アレルギーの人でも、卵白アルブミンが、1200 ng/mL 以下なら、卵を使ったワクチンでも接種可能と報告があります。
国内のインフルエンザワクチンでは、高い品質管理により、卵白アルブミンが 20 ng/mL 未満 にコントロールされてますので、理論的にはアレルギーは起こらないものと考えられています。
卵摂取後アナフィラキシー既往児などを対象とした報告では、卵白アルブミンが 1200 ng/mL 以下のワクチンなら重篤な卵アレルギー児でも接種可能と結論づけられた
JamesJM，J Pediatr 133：624-628, 1998
国内のインフルエンザワクチン中の卵白アルブミン含有量は、厳しい卵の品質管理や精製技術の向上により、1～10ng／0.5 mL未満にコントロールされ、理論的にはアレルギーは惹起しないと考えられており、ロット間でのバラツキもほとんどない
アレルギー患児への予防接種 日本医事新法 4246：11-15, 2005
予防接種後に注意すること
１回起こった副作用は起きやすいです。
１回目に少し熱が出た場合は２回目は注意して打ちますが、かなりの発熱を来した場合は２回目の接種をするかどうかについて、慎重な判断が求められます。
担当の医師とよく相談しましょう。
インフル予防接種を打たない方が良い人
『１回目の接種から２日以内に熱発した方』は、接種しない方が良いです。
安全のためとご理解ください。
インフルエンザの定期接種で接種後２日以内に発熱のみられた者、および全身発赤等のアレルギーを疑う者は、接種不適当者に該当する
予防接種法施行規則 第２条第９号
ワクチンの副作用は予想できない
「ワクチンの副作用が起こるか起こらないか？」は、まったく予想できません。
しかし、前述のとおり、１回打って副反応（ワクチンの副作用は副反応と言います）が出た場合は、もう１回出る確率が高いです。
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