【『年のせい』だけじゃない】『高齢者の両足のむくみ』の診断と治療

両足がむくむ原因で最も多いのは、『血液の返りが悪いから』です。

足先から血液が返ってこないから、足がむくみます。

足先から血液が返ってこない理由は、足の筋肉不足・血管の老朽化、です。

治療は、一時的に利尿剤を使うこともありますが、根本的には生活習慣の改善です。

足を体と同じ高さ以上に上げることや、適度な運動、硬いストッキングを履く、という生活スタイルになります。

また、足のむくみには、重大な病気が隠されていることもあります。

片足がむくむ時は、血栓や腫瘍がないか、検査する必要があります。

両足がむくむ時は、心臓や腎臓、肝臓の病気がないか、検査する必要があります。

 

結論:両足がむくむ理由は、『血液の返りが悪い』ことが多いが、検査は必要

足がむくむ原因は、足先からの血液の返りが悪い『静脈の異常』が多いです。

特に、両方の足がむくんでいる場合は、『静脈のうっ滞』を疑います。

しかし、たまに怖い病気のこともあり、検査が必要です。

『両足のむくみ』の1番多い原因は、『血液の返りが悪いから』│うっ滞性の浮腫

慢性的な両足の浮腫の原因は、静脈流出の異常(うっ滞性の浮腫)が多いです.

Ludwig M: Diagnosis and differential diagnosis of swollen leg, Schweiz Rundsch Med Prax. 1989 Sep 12;78(37):987-992

 

『足がむくむ』場合は、何か大きな病気があるかもしれない│血栓と腫瘍

  1. 血栓
  2. 腫瘍
  1. 心臓
  2. 腎臓
  3. 肝臓
  4. 血栓
  5. ホルモン異常
  6. 薬の副作用

足がむくむ場合、怖い病気が隠れていることがあります。

特に、『片足しかむくんでいない場合』は、『血栓』や『腫瘍』などの重大な病気のことがあり、注意が必要です。

『両足がむくむ場合』でも、心臓や腎臓、ホルモン異常など、全身の異常が見つかる場合があります。

また、今まで飲んでいた薬の副作用で足がむくんでいた、というパターンもあります。

『薬を飲み始めてから足がむくんだ』と感じたら、かかりつけの医師に相談してみましょう。

『足の血栓』を診断する検査

 

  1. 血液検査
  2. 足の超音波検査

足の血栓の検査は、2つあります。

血液検査で、『そもそも血栓があるかどうか』を推定します。

足の超音波検査で、『足のどこに血栓があるか』がわかります。

血液検査は、『Dダイマー(でぃー・だいまー)』を測ります。

Dダイマーが3を超えていると血栓があるかもしれません

血液検査でDダイマーが3以上では血栓があるかもしれない

Dダイマーのカットオフ値: 3 μg/mL以上

阿部, 静脈血栓塞栓症診断を目的としたDダイマーのカットオフ値設定およびその運用について, Japanese Journal of General Hospital Psychiatry, 2013: 25: 41-48

 

足のむくみの原因│勉強したい医師向けの内容

『片足のむくみ』の原因

  1. 深部静脈血栓症
  2. 血栓症後症候群
  3. ベッカー嚢胞破裂
  4. 感染症
  5. リンパ浮腫
  6. 血管奇形
  7. 腫瘍
  8. 静脈疾患
  9. 静脈うっ滞
  10. 腸骨静脈の圧迫
  11. 放射線治療後
  12. 筋萎縮
  13. 外傷
  14. 反射性交感神経性ジストロフィー(Reflux sympathetic dystrophy)
  15. 静脈外膜嚢腫(Venous advential cystic disease)
  16. 過成長症候群(Overgrowth syndrome)

 

『両足のむくみ』の原因

  1. 両足の深部静脈血栓症
  2. 血栓後症候群
  3. 心不全
  4. 腎不全
  5. 肝不全
  6. 下大静脈血栓症
  7. 下大静脈の形成異常
  8. 下大静脈腫瘍
  9. 薬剤性
  10. 肺高血圧症
  11. 特発性浮腫
  12. リンパ浮腫
  13. 脂肪腫
  14. 妊娠・産褥婦
  15. 肥満
  16. 低アルブミン血症
  17. 静脈うっ滞
  18. 脊髄損傷・脊髄障害
  19. 吸収不良症候群
  20. 甲状腺疾患
  21. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群

Gasparis AP: Diagnostic approach to lower limb edema. Phlebology, 2020 Oct;35(9):650-655

 

 

薬の副作用で、足がむくむことがある

薬の副作用で足がむくんでしまうこともあります。

その時は、アムロジピンという血圧を下げる一般的な薬が原因となっている場合があります。

脚のむくみを引き起こす可能性のある薬

降圧薬

  • カルシウムチャネル遮断薬
  • ベータ遮断薬
  • クロニジン
  • ヒドララジン
  • ミノキシジル
  • メチルドパ

 

ホルモン

  • コルチコステロイド
  • エストロゲン
  • プロゲステロン
  • テストステロン

 

  • プレガバリン
  • ガバペンチン

 

化学療法

  • ドセタキセル
  • ゲムシタビン
  • ペメトレキセド
  • レノリダミド/サリドマイド
  • 標的免疫療法

 

その他

  • 非ステロイド性抗炎症薬
  • ピオグリタゾン
  • ロシグリタゾン
  • モノアミンオキシダーゼ阻害剤
  • プラミペキソール

多くの薬は下肢の浮腫を引き起こす可能性がある.

カルシウムチャネル遮断薬、特にアムロジピンなどのジヒドロピリジンクラスの遮断薬が一般的な原因であり、この薬剤を服用している患者のほぼ50%に下肢浮腫が見られる.

 

 

特殊な検査をすることは少ない

リンパ浮腫には、リンパシンチグラフィという検査があります。

あまり実施されることはありません。

 

『足のむくみ』の治療は、生活習慣の改善│『足をあげる』『圧迫』

『足のむくみ』を起こすような特別な原因がなければ、治療は生活習慣の改善になります。

生活習慣を気をつけることで、足のむくみが良くなるようであれば、薬は必要ありません。

  1. 足をあげる(心臓より高い位置に上げる)
  2. 弾性ストッキングの装着

『足のむくみ』の原因を調べることも大切です。

特に、片側の足がむくんでいる時は、血栓や腫瘍などの何か異常があるかもしれません。