【腰痛がクセにならないために】腰痛は治るまで何日かかる?│腰痛の原因と正しい治療

腰痛は、きちんと治療していれば、最初の1ヶ月くらいで半分くらいの痛みになります。

しかし、腰に負担がかかる動作をしたり、重いものを持ったりすると、腰の痛みがずっと続いてしまいます。

そして、腰痛が3ヶ月以上続いた場合は、治りにくくなります。

ですので、腰痛が治るかどうかは、はじめの3ヶ月の治療が大切です。

腰痛は、はじめの3ヶ月間に正しい治療を受けないと、そのまま『慢性的な腰痛もち』になりやすいです

『なぜ腰が痛いのか?』、原因を調べる検査も大切です。

腰痛の原因を見つける主な検査は、『腰を動かしたときのレントゲン』『腰のMRI検査』です。

『腰痛の原因』は、きちんと検査すれば、75%に原因が見つかります。

腰痛の原因は、検査をすると何か病気が見つかることがほとんどです

中には、手術しなければ治らないタイプの腰痛もあります。

『手術しなければ治らりそうもない腰痛』に対しては、『手術を積極的に提案する』のが正しいです。

『手術が必要な腰痛』は、手術しないと良くなりません

腰の手術は種類が多いので、『どのような手術が向いているのか?』は、腰の手術をたくさん経験しないと、正しい案内ができません。

きちんと検査して、正しい診断を受けて、適切な治療を提案してもらうようにしましょう。

 

結論:腰痛は、最初の1ヶ月でだいたい良くなる

『腰痛の強さ』と経過│1ヶ月で半分くらいの痛みにはなる

腰痛になっても、腰をいたわった生活をしていれば、1ヶ月くらいで約半分くらいの痛みに改善します

つまり、はじめの痛みを『10』とすると、1ヶ月後に『6』くらいにはなります。

半年かけて徐々に良くなっていきますが、半年経つとあまり改善せず、『くすぶって痛い』状態が続きます。

これが『腰痛持ち』になる経過です。

医学的な言い方では、『急性腰痛(きゅうせい・ようつう)』から、『慢性腰痛(まんせい・ようつう)』に移行した、ということになります。

腰痛の原因がきちんとわかった上で、痛みが続いたり、『休み休みでないと歩けない』という症状が出始めたら、手術を提案することになります。

腰痛は、最初の1.5ヶ月で、痛みの強さが約半分に改善する│腰痛業界で有名な研究

大規模な前向き観察研究・システマティックレビュー:

計11166症例の腰痛データを解析:

  • 急性腰痛 発症時の痛み 52/100
  • 6週間後 33/100
  • 26週間後 26/100
  • 52週間後 23/100

da C Menezes CL, The prognosis of acute and persistent low-back pain: a meta-analysis. CMAJ 2012; 184:613

一度『腰痛持ち』になると、治りにくい│3ヶ月以上の慢性腰痛はずっと痛い

3ヶ月以上の慢性的な腰痛』は、治りにくいことが知られています

3ヶ月以上腰痛が続き、慢性化して『腰痛持ち』の状態になると、腰痛が治りにくくなります。

腰痛が治るかどうかは、はじめの3ヶ月が勝負です

慢性的な『腰痛持ち』は、治りにくい

慢性腰痛患者の自然経過は、急性腰痛に比べて不良である.

腰痛診療ガイドライン2019, p12

『3ヶ月以上の腰痛』は、『慢性腰痛』

慢性腰痛の定義: 3ヶ月以上継続する腰痛.

Snelgrove S: Living with chronic low back pain: a metasynthesis of qualitative reseach. Chronic Illn 2013; 9: 283

 

 

『腰痛もち』になりやすい人の特徴

  1. 170cm以上の高身長女子
  2. 低い教育レベル
  3. 交通事故の後から腰痛になった人
  4. うつ
  5. 認知症
  6. お年寄り
  7. 肥満
  8. 喫煙者・タバコを吸っている人
  9. アルコール飲酒
  10. 以前にも腰痛歴のある人
  11. 妊婦(妊娠してから腰痛になった人)
  12. ストレスのある生活

『腰痛もちになりそうな人』は、上記のような人たちです。

意外なものもありますが、海外の研究データでエビデンス(証拠)が示されており、日本の腰痛ガイドラインにも記載されています。

『高身長女子』は、腰痛が治りにくい│170センチ女子は腰が痛くなりがち

 

身長170センチ以上の『高身長女子』は、腰痛持ちになりやすいです

ノルウェーの研究では、身長が170cm以上の高身長の女性は、腰痛になりやすいことが知られています。

また、子どもの場合も、『女の子の方が腰痛が起こりやすい』というドイツの研究データがあります。

高身長女子は、腰が痛くなりやすい(ノルウェー)

身長170cm以上の女性は、160cm未満と比べて腰痛を発症しやすかった.

Heuch I: Association between body height and chronic low back pain: a follow-up in the Nord-Trøndelag Health Study.
BMJ Open. 2015. PMID: 26078308

女の子の方が腰痛になりやすい│子どもの腰痛の研究(ドイツ)

9-14歳の小児(2025例)の研究では、女子は腰痛の有病率が高く、再発率も高かった.

van Gessel H: Children in pain: recurrent back pain, abnormal pain, and headache in children and adolescents in a four -year-period. J Pediatr 2011; 158: 977

 

タバコを吸うと腰痛になりやすい

喫煙者は、腰痛になりやすいです

タバコを吸っていると、腰痛になりやすい』という事実が、メタアナリシスで示されています。

メタアナリシスとは、医学的に最も信頼されたデータであり、過去の独立した研究をまとめて解析する方法です。

タバコは腰痛の原因になる(メタアナリシス)

腰痛のメタアナリシス(信頼性が高いデータ):

喫煙者は、非喫煙者に比べて腰痛の割合が高かった.

Shiri R: The association between obesity and low back pain: meta-analysis. Am J Epidemiol 2010; 171: 135

学歴と腰痛の関係│腰痛になりやすいのは『高学歴』『低学歴』どっち?

学歴が低い方が、腰痛になりやすいことが研究から示されています

非常に残念な結果ですが、『低い教育レベル』は、腰痛が慢性化しやすく、再発しやすいという研究データがあります。

腰痛のガイドラインにも記載があります。

『学歴』と『腰痛のなりやすさ』は関係がある

腰痛の慢性化や再発の危険因子としては、(中略)低い教育レベルが報告されている.

腰痛診療ガイドライン2019, p13

 

『妊娠中に腰痛になった人』は、出産後も『腰痛もち』になりやすい│妊娠初期のぎっくり腰に注意

妊娠中にはじめて腰痛になった人は、出産してからも腰痛が残りやすいです

妊娠中に腰が痛くなった妊婦さんは、出産した後も約3割の人が腰痛が残ってしまいます

お腹に赤ちゃんがいると運動も満足にできませんし、出産した後は生活がもっと大変になるので、出産後の腰痛は、ある程度やむを得ない部分だと思います。

出産後は授乳をするため、腰痛の薬が飲めないことも辛い点です。

妊娠中に腰痛になると、出産後も腰痛が残りやすい

妊娠中に腰痛になった639例中、産後6ヶ月時点で176例(27.5%)に腰痛が残った.

Bergstrom C: Sick leave and healthcare utilisation in women reporting precnancy related low back pain and/or pelvic girdle pain at 14 months postpartum. Chiropr Man Therap 2016; 24:7

 

 

腰痛の原因ランキング│腰痛ガイドライン

腰痛の75%は原因が特定できます

腰痛の原因ランキング

腰痛の原因の内訳:

  1. 椎間関節性(22%)
  2. 筋・筋膜性(18%)
  3. 椎間板性(13%)
  4. 狭窄症(11%)
  5. 椎間板ヘルニア(7%)
  6. 仙腸関節性(6%)
  7. その他

Suzuki H, Diagnosis and Characters of Non-Specific Low Back Pain in Japan, PLos One 2016; 11: e0160454

腰痛の原因は、75%が特定できます。

その中で、最も多いものは、『椎間関節性(ついかん・かんせつ・せい)』です。

『椎間関節性の腰痛』は、『せぼねを後ろにそった時に痛い』という特徴があります。

腰痛は75%が原因がわかる

腰痛の原因は、75%以上で診断が可能であり、診断不明の『非特異的腰痛』は、逆に22%に過ぎなかった.

腰痛診療ガイドライン2019, p9