便秘は、苦しくてツライものです。
便秘で苦しむ方は、高齢者・若い女性・子ども、とさまざまです。
- マグネシウム製剤
- センノシド(プルゼニド)
便秘の治療の基本は、『マグネシウム製剤』と『センノシド』です。
マグネシウムは、便を柔らかくする効果がありますが、便秘薬の中では弱い薬です。
センノシドは、腸を動かす効果がある強い薬です。
センノシドがあればだいたいの便秘は改善しますが、使いすぎるとクセになるため、センノシドを連日使用する場合は、他の薬に切り替えたりします。
現在では、アミティーザ・グーフィス・モビコール、を使うことが多いです。
それぞれの特性に合った薬を探していきましょう。
薬を使っても便秘が治らない場合は、大腸の怖い病気が隠れているかもしれません。
便秘の治療薬
便秘の治療薬は、たくさんの種類があります。
みなさん、自分に合う薬を見つけていきましょう。
- 酸化マグネシウム
- センノシド・プルゼニド
- ピコスルファート液
- グーフィス
- アミティーザ
- モビコール
- リンゼス
- 漢方薬:麻子仁丸(ましにんがん)
便秘の薬は、常用することが多いので、料金が安い便秘薬が良いです。
その中でも1番安くて使いやすいのが、『マグネシウム製剤』『酸化マグネシウム』『マグミット』です。
マグネシウムを使っても便秘が改善されない場合は、『センノシド』『プルゼニド』を飲みます。
センノシドやプルゼニドは、効果が出るまでに時間がかかり、飲んでから8時間経過した後に便が出るため、寝る前に飲みます。
安くて使いやすい薬ですが、『センノシド・プルゼニドはクセになること』が、唯一のデメリットです。
また、妊婦の人がセンノシド・プルゼニドを大量に飲むと、子宮の収縮が誘発され、流産・早産の原因となり得ます。
ピコスルファート液は、センノシド・プルゼニドと似ていますが、習慣性がなく、依存しません。
つまり、『飲むのをやめると便が出なくなる』ということは起こりません。
ピコスルファート液は、妊婦や小児でも使える点はメリットです。
参考│
・結束, オピオイド誘発性便秘の疫学・診断・治療, 日本運動器疼痛学会誌 14(2): 72-83, 2022
グーフィス・アミティーザは、新しいタイプの便秘薬です。
クセになりにくい便秘薬です。
アミティーザは、特にパーキンソン病の人には良いとされています。
また、妊婦の人はアミティーザは飲めません。
モビコールは、2歳以上であれば子どもでも安全に使える便秘薬です。
米国では小児の便秘の第一選択薬はモビコールです。
モビコールは、毎日使っても依存性がなく、いい薬です。
唯一のデメリットは、『錠剤がないこと』です。
モビコールの粉を水に溶かして飲みます。
1番強い便秘薬は?│センノシド・プルゼニド
センノシド・プルゼニド が最も効果が強い
ただし、効果には個人差があります
センノシド・プルゼニドが最も強い便秘薬です。
安いので、コスパも良いです。
飲んでから、8時間経ってから便が出ます。
ですので、『飲んですぐ効く便秘薬』ではありません。
長期間使うと癖(クセ)になりやすいです。
センノシド・プルゼニドの効果には、個人差があるため、1番強いと言えども、便秘のタイプによっては他の薬が有効な場合もあります。
便秘薬のデメリット│クセになること
便秘薬は、長期間にわたって飲んでいると癖になる薬もあります。
- センノシド・センナ
- プルゼニド
- アローゼン
- セチロ
- ヨーデル
これらの薬は『腸を動かすタイプの下剤』ですが、長期間使用すると、大腸の内側が黒く変色(=大腸メラノーシス)して、腸を動かす神経が傷むことが知られています。
便秘薬を休薬することで、腸の内側の黒色は元に戻りますが、一度傷んだ『腸を動かす神経』は元には戻りません。
腸を動かす神経がどんどん壊れていくため、薬の効きが悪くなり、さらに便秘薬が必要になる、というサイクルを『クセになる』と解釈しています。
↓
② 腸を動かす神経が壊れる
↓
③ 腸が動かなくなる
↓
④ より多い量の便秘薬が必要になる
一度、④の状態になると、なかなか元には戻りません。
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センノシドとピコスルファート液の違い│医療者向け
- センノシドは、アントラキノン系の薬物で、腸管メラノーシスを起こり得ます。また依存性・習慣性があります。
ピコスルファート液は、ジフェニドール系の薬物で、腸管メラノーシスは原則起こりません。また依存性・習慣性はありません。
便秘薬がクセにならないために│グーフィス・アミティーザ・モビコールに変更
腸を動かすタイプの薬(センノシドなど)は、長期に飲むと癖になりやすいです。
それを防ぐためにも、新しいタイプの便秘薬(グーフィス・アミティーザ・モビコール)に変更することも選択肢のひとつです。
便秘の漢方薬
- 麻子仁丸
- 大建中湯
- 大黄甘草湯
便秘の漢方を飲むと、大黄(だいおう)の成分のおかげで、便が出ます。
大黄には、センノシドが多く含まれています。
麻子仁丸と大黄甘草湯には、大黄がそれぞれ4グラムずつ入っています。
麻子仁丸(ましにんがん)は、便秘にとても良く効く薬です。
漢方薬は、甘草(かんぞう)という成分が入っていることが多く、しばしば甘草による副作用(低カリウム血症)が出ることあります。
麻子仁丸は、甘草の成分が入っていないため、副作用が出にくく、便秘の人にとってはとても使いやすい漢方薬です。
大建中湯(だいけん・ちゅうとう)は、『大きな手術後に動かなくなった腸』によく効きます。
全身麻酔の大きな手術を受けると、胃腸の手術ではなくても、術後数日間は、腸が動きにくくなります。
例えば、腰のヘルニアの手術や、関節の手術、乳がんの手術、脳の手術、などをしても、腸の動きが悪くなります。
その場合は、大建中湯が有効です。
普通の漢方では、1日 7.5g を飲むことが多いですが、大建中湯は1日 15g 飲むとよく効きます。
妊婦でも使える便秘薬リスト
- マグミット
- ピコスルファート
- グリセリン浣腸
- モビコール
- グーフィス
- リンゼス
アミティーザは、妊婦には禁忌(きんき)と記載あり、妊婦には使えません。
便秘の検査│レントゲン・CT・血液検査・検便・大腸カメラ
- レントゲン
- CT
- 血液検査
- 検便
- 大腸カメラ
便秘の検査には、上記4つがあります。
お腹のレントゲン│便の位置を確認する検査
お腹のレントゲン検査は、便がどこにあるかを調べる検査です。
レントゲン撮影で、肛門に近いところまで便が降りてきていることがわかれば、浣腸(かんちょう)すると便が出ます。
しかし、レントゲンで便が降りてきてなければ、浣腸を入れても便まで届かないですし、指を入れて便をかき出す『摘便(てきべん)』もできません。
簡単にできる検査ですので、慢性的な便秘があれば、レントゲン撮影はまずはじめに行うべき検査です。
便がどこにあるかを見ることが目的になる検査ですが、大きな異常(腸の閉塞・腸のねじれ)が見つかることもあります。
便秘の原因
便秘の原因で、最も多いものは『加齢』です。
高齢になると、腸が自然と動かなくなってきます。
このときは、腸を動かすタイプの便秘薬が有効です。
- 加齢で腸が動かなくなる
- 薬の副作用(高血圧の薬・メンタルの薬)
- 腸の病気(大腸がん・クローン病)
- 脳の病気(パーキンソン・認知症・脳梗塞)
- せぼねの病気
- 糖尿病・甲状腺の病気
- その他
薬の副作用でも、便秘を引き起こします。
特に注意するべきは、高血圧症の薬(アムロジピンなど)・メンタルの薬、です。
これらはいずれも、必要があって飲んでいる薬であり、継続して飲む必要がある薬です。
便秘がそれ程ひどくなく、代わりになる治療もないようであれば、メリットとデメリットを考慮して、高血圧の薬・メンタルの薬は飲み続けることが望ましいです。